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「近くに友達は？」
「櫻井くんしかいない……」
「……」
「でも櫻井くんがいるから平気」
そうか、それで。
なんとなく引っかかっていた最後のパーツがぱちりとハマった気がした。
Aにとって、心を許せて、いつもそばにいて、悲しいとき苦しいとき寂しいとき心に寄り添える人が、圭太以外には俺しかいなかったんだ。納得。
Aは今そばにいるたった一人の貴重な友人を手放したくなかったんだ。
その友人を手放すくらいなら、自分にとって少し違うんだけどな、っていう俺の行動も許せたんだ。
他に友達がいれば、私をそういう目で見てくるお前なんてもういらない！ってポイ捨てしたいところなのに？
俺しかいないから。
だからいつも拒めないし、
とうとう。
俺が踏み外した一線すら許せたんだ。
だって。貴重な友達だから。
ああ、そうか。それでなんだか納得いってしまった。
でもこれって、俺はAの弱みを握ってそれを利用して無理矢理襲った最低な男ってことになるよな?
漫画で見たことあるぞ、
『いいのか？言うこと聞かねーとお前の大事なもの奪っちまうぞ、ゲヘヘ』的な。
だからホントは嫌だったけど仕方なく？
それなら翌朝の冷たい態度も頷ける。
「……それでかぁ」
「ん？なにが？」
「……俺の中で一つ謎が晴れた」
笑ったけど、うまく笑えた自信はない。
駅について、電車に乗ったら逃げられる気がしてタクシー乗り場に向かう。戸惑って逃げ腰になったAの腕を掴む。
「え、ちょっと……」
「うちに来るでしょ」
「……」
「行こう」
タクシーに無理矢理押し込む。
Aはとりあえず一旦受け入れることにしたようで少しホッとした。
「あの。ちょっとまって？私流石に櫻井くんちに行けない」
タクシーに乗ってから言うところに、俺への強い信頼が見える。どうしようもない奴。
「なんで？飲み直さない？」
「……でも、こんな時間に行ったら終電がなくなるよ！」
「でもさっき、明日圭太と会うかもしれない、帰りたくないって言ってたでしょ」
「言ったけど」
「じゃあ帰らなくていいよ」
「そういうわけにはいかない！」
「なんで？」
「なんでって……」
「トモダチ、でしょ」
俺がそう言うと黙り込んだ。
取って食おうなんて思ってないから。
もう二度と嫌がることはしないから。
だから頼むから圭太にだけは会うな、って、俺も半ば意地になってる。
2回浮気されて寄り戻した女だぞ？
三度目の正直？
いや、二度あることは三度ある、だ。
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みい(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます。翔くん視点のお話も、とっても大好きです。他の作品も読ませていただいていますが、そちらも楽しみです！1ファンとして、応援しています。 (2021年8月23日 3時) (
レス) id: d3369a3b66 (このIDを非表示/違反報告)
すりおろし梨。(プロフ) - ありがとうございます。 凄く良かった。また 次回作 楽しみにしてます(^ ^) (2021年5月24日 9時) (レス) id: 2a65575bc9 (このIDを非表示/違反報告)
すりおろし梨。(プロフ) - 大野さんや にのが、やっとか。て思ったのホントその通り過ぎて。あの日すぐに指輪買いに行ったのも彼女は要らない急がないって言うてもホントは凄く嬉しいはずやし 翔くんもそんな彼女を見るの幸せやったやろなぁー て ニヤニヤして読み終わりました ありがとう。 (2021年5月24日 9時) (レス) id: 2a65575bc9 (このIDを非表示/違反報告)
すりおろし梨。(プロフ) - 彼女視点と翔くん視点。Iページづつ 同時に一気に読みました。あちこち2人の行き違いで泣きそうになり 後半切なすぎてもどかし過ぎて やっぱり切なすぎて鼻水垂らしながら読み切りました。何だこの2人 面倒いわ(>_<)やっとかよ(^_^) (2021年5月24日 9時) (レス) id: 2a65575bc9 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - 完結お疲れ様でした。と、櫻井君バージョンありがとうございます。すっごくスッキリしました。まだまだ作品を書いて頂けるようでとても楽しみです(*´∀｀) (2021年3月26日 0時) (レス) id: 96f199fab2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年3月2日 7時
