〇≠無の証明Ⅳ－４ (ページ10)

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ふたりがわちゃわちゃやってるのをとりあえず放置して、四人でため息を吐く。

「問題はまだ山積みだよ」
「うん」
「Aに取り憑いたときに鎌を凶器にしたいと思ったところから、虫と鎌の男は同一の可能性が高い」
櫻井さんがメモを指差しながら言う。

「この虫が取り憑いた人間は工事を妨害したかもしれない、なぜなら工事によって見つかると困るものが出てくる可能性があるから」

「見つかると困るもの……？」
相葉さんが不安そうに私を見る。

「例えば犯人はこの行方不明者を殺害して工事のどさくさに紛れて旧館のどこかに埋めたりしてるかもしれない」
「……」

しん、と静まり返る。

「そう考えたら、辻褄が合うんだよ」
櫻井さんもそう言った。

「え？え？どういうこと？」
大野さんと二宮さんがかめはめ波をやめて私たちを見た。

「犯人は鎌の男ひとりじゃない、一つの行方不明者につき一人犯人がいると考えるほうが矛盾がない」

櫻井さんが皆の前にメモをぽん、とおいた。

「この自死と断定された人の殺害された可能性は？」

松本さんがコピーを見て答える。
「ないよ。犯人ともみ合った形跡も、抵抗するときに見る吉川線もない。ご遺体の特徴や索条痕も絞殺や扼殺でないことは確認済み」

「遺書は？」
「ないけど二人とも周りに『もう疲れた』という言葉を残してる。ちなみにゲソ痕も本人のものだけだったから疑う余地なし」

「じゃあ鎌の男とは関係ないのか……」
皆が考え込む。
しーんと静まり返る室内。

「シュークリーム食べません？」
私の言葉に皆がハッとした。

「よし食おう」
大野さんが一番張り切っててちょっとわらう。

「エダノキヌコさんを殺したのは最初の鎌の男よね……？」
シュークリームがみんなに行き渡ってから、私がそう聞いたら、皆がハテ？という顔をした。

「連続殺人鬼はどこに消えたの？」
「そうだよね」

相葉さんが困った顔で首を傾げた。
口の周りにクリームがついてて可愛い。

「それに。信じてくれないかもしれないけど……」
「信じるよ」
大野さんが私が言う前にそう言ってくれて少しホッとした。

「私、鎌の男の霊を見てる……残留思念かもしれないけど、誰かを追いかけてた」
「……」
「虫の正体が鎌の男なら、鎌の男はもう死んでることにならない？」
「……うん」

松本さんが頷いた。

「ちなみに、……鎌の男の連続殺人鬼の容疑者はこの人たちだね」

二宮さんが写真を何枚か並べる。