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のしり、のしり、と屋上から男が出てきた。
鎌を振り上げて最初に目についたらしい相葉さんに向かって来た。
「ちょっとまって？落ち着こうか！」
相葉さんがそう言いながら間合いを取る。
鎌の男はシューシューと妙な音を立てて息を吐く。
攻撃の体勢で背後から大野さんが近づく。
鎌男は左手に持った鎌をブンと振り抜いて、大野さんは仰け反ってそれを躱した。
「おめー、こっちにも目ついてんのかぁ？」
大野さんののんびりした声に一気に私達も落ち着いた。
「君は誰だ？その手の鎌を離して大人しくしなさい」
櫻井さんがそう言った。
鎌男は櫻井さんを見て一瞬ハッとした。
「ピンク色？」
相葉さんがそう言った。
ああ、そう。ということは。つまり。
松本さんが後ろからそっと近づいたら、鎌男が振り返った。
その瞬間に大野さんが周り込んで男のフードを外した。
暗くて顔はよく見えない。けど。
「……っ」
くぐもった声。
「河東さんよね？観念しなさい」
私が声をかけたら男は殺意を持って私を見た。
猛然と私に向かって突っ込んでくる。
「お前は殺す！」
みんなが息を呑んだ。
「A、逃げろ」
二宮さんの声を聞いて、河東が一瞬目線を二宮さんに向けた。
今だ。
ジップロックの中に手を突っ込んで、河東の目に向かって中のものを投げつける。
用意していたのは、清めの塩。
鎌男が、ぎゃ！と叫んで右手の鎌を落とした。
「あ、」
松本さんの視線が一瞬他所を向いた。
「塩か！だからだ！ニノ！」
「え？」
「斬れ！2時の方向！」
「え？え？」
河東は目を押さえたまま、左手の鎌をブンブン振り回してる。
「ええーい」
大野さんの回し蹴りが華麗に決まって河東がもんどり打って両膝をついた。
その隙に櫻井さんが左手の鎌を蹴り飛ばして、相葉さんが河東の馬乗りになる。
「う……」
「河東事務長ですね？お話をゆっくり伺いましょうか？」
櫻井さんがそう言った。
「まって、鎌男が出た！」
松本さんが慌てて言う。
「どういうこと？」
二宮さんが慌てて聞き返す。
「Aが塩を撒いた瞬間出ていったんだよ、鎌男！」
「こいつじゃなくて？」
「こいつは鎌男に乗っ取られてたんだよ！」
松本さんが周りを見渡して何かを探してる。
「A、見える？」
「え、」
「相葉さんは！」
「見えないよ、河東さんどうしたらいいの」
「手錠でもかけて括り付けといて！」
松本さんが私を見て息を呑んだ。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月5日 16時
