王子のお迎え(01/07) ページ12
櫻井さんとご飯。
正直、ちょっと浮かれる。
しかし。吉田くんのことを思い出しては一気に冷める。
あの課長どうなったのかしら。部長もいる前で『セクハラ男しかいない職場でこれ以上働けません』
って言ってそのまま辞めたけど。
失業保険をもらう間資格を取る勉強してたから、退職して半年後位に今の派遣会社に登録した。
契約更新をしないのでサクラグループは三社目だ。
一切残業もないし楽でいいけど少し物足りない。
いつもどおり仕事を終えて、皆にお先に失礼します、と挨拶して会社を出る。
6時過ぎ。
化粧をなおして髪をもう一度整えて、櫻井さんの横に立ってもなるべく恥ずかしくないビジュアルになろうとして、ため息を吐く。
無理。あんな美形とはどうやっても釣り合わない！
早々に自分を諦めてカフェラテを注文して櫻井さんの言ってた席を確保できてホッとした。
ぼーっと人の流れを眺める。
櫻井さんはいつもこの席で何を思ってるんだろう。
……あの人、何を見て何を考えているのかな、知りたいな、と思うのは恋だ。
恋？王子に？私が？やめなさい。
玉の輿は乗れそうもないと早々に諦め、
玉の輿を作ろうとして脱落し、
もう玉なんていらねぇ、当たり障りなく適当に穏やかに生きてやると誓った私が王子に恋？馬鹿ですか？
落ち着け。
落ち着くんだ。
ほらご覧、この美しい街の夜景。
眠らない街の灯の夜景の実態は残業中のブラック企業。
きれいに見えるイルミネーションも近くで見たら埃をかぶってる。
あの幸せそうに見える夫婦も旦那の浮気で悩んでるかもしれないし、借金まみれかもしれないし、大病抱えてるかも。
そんな中、みんな身の丈に合った小さな幸せ探して必死に生きてる。
そんな裏側全部見たあとに、王子が迎えに来るかもなどと夢なんか見れない。
あの人もこの人も身近で小さな幸せを……
なんてことを思いながら店内を見渡したら。2つ隣の席の仕事してる営業っぽい男がいた。
仕事かな？社内機密情報とか覗かれたりして見られたらどうす……
顔を見て、ギョッとした。
ん？んんん？
あいつ。
吉田くんじゃないの。
どうしよ。逃げたい。
でもここで待ち合わせだしな。
本を読んで顔を必死に隠してたら、吉田くんの方が、私に気づいた。
「あれ……もしかして、麻倉さん？」
「え？」
初めて気づいたふりして吉田くんを見て、驚くふりをする自分に引く。
あんなこと言っといて声をかけられる吉田くんにもドン引き。
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susakinyanko(プロフ) - 駅前のハトがツボ過ぎます。死ぬかと思った笑 (12月15日 15時) (
レス) @page41 id: 9ec95cf02d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 面白い！眠気がとんだよー！よしのさん好き(^^) (2020年1月30日 10時) (レス) id: 12e1cc5b48 (このIDを非表示/違反報告)
花乃(プロフ) - こんにちは。やっぱりよしのさんのお話好きだー！！と叫ばせていただきます(*´∇｀*) (2020年1月26日 17時) (レス) id: 95a7b7882e (このIDを非表示/違反報告)
ちこ(プロフ) - こんにちは。よしのさんの新作ですね。ゴルゴの回まで一気読みしてしまいました。とっても楽しいです！更新楽しみにしています。 (2020年1月16日 16時) (レス) id: c3adc4cd0a (このIDを非表示/違反報告)
ジュン(プロフ) - もう、さすがの一言です。やっぱり面白すぎます！最高です！ (2020年1月16日 1時) (レス) id: 586c2240fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月6日 0時
