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「それだ」
「なに」
「俺、生霊は見えないから」
松本さんがお皿を見下ろした。
「……そっか」
櫻井さんも納得した顔をした。
「相葉くんが人の黒い影を見て、松本くんは気配しか感じなくて、俺はずっとうなり声が聞こえていて智くんが寝ると消える理由は」
「河東さんかどうかはわからないけど、生霊に近いモノ」
松本さんが頷いた。
「ねぇ、それまずくない？」
相葉さんがお皿にサラダを山ほど盛って私達の話に入ってくる。
「どうして？」
「もし河東さんが扉でさ、自分の生霊ふわふわさせちゃったらうっかり扉の中に閉じ込められない？」
「……」
相葉さんの言葉に思わず松本さんと目を合わせる。
「……もし……河東の魂が扉の中に閉じ込められたらどうなる？」
……彼の魂は扉の持ち主に乗っ取られる？
私の想像を読んだ櫻井さんがぼそっと呟く。
「扉の持ち主って誰だよ」
「まぁ、例えば大野さんで例えると閻魔様に」
「……河東の扉を作ったのは誰だ……？」
「神様じゃないよね」
「違う、あれは悪霊だった。よな、相葉さん」
松本さんが真剣な目で相葉さんを見る。
「悪霊かどうかはわかんないけど真っ黒だったから悪意の塊だよ、間違いないよ」
「ねぇ、霊って喰い合うんじゃなかった？」
私が何気なく言った言葉に松本さんがハッとした。
「喰い合うってより、より巨大なモノに吸い込まれて一つの意思になる、というか……」
頭を整理するかのように歩き出す。相葉さんもその後に続く。
「……悪意は悪意に引き寄せられるからね！人間ですらそうでしょ？悪口言う人は悪口言う人と仲良くなるでしょ」
相葉さんが私にそういった。
「確かに」
「人間ってさー忙しいじゃん？仕事もあるし家のこともあるし趣味もね、色々忙しい。赤ちゃんでもない限り感情だけで動けないよね」
「うん」
「だからね、まぁネットとかSNSとかでは悪意だけで存在すること可能だけど……普通はご飯食ったりテレビ見なきゃいけないし、一つの感情に支配され続けることはできないの」
相葉さんが穏やかに続ける。
「そうだね、美味しいもの食べながら嫌いな人思い出す人なんていないよね……多分」
「好きな人は思い出したりするけどね？これ食べさせてあげたいなぁ、とかね」
「あらロマンチスト」
「あらやだ」
ふふふって笑いあってたら松本さんがニッと笑って、話逸れてるぞーって言った。
相葉さんと目を合わせてちょっと笑う。
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みつき - この章はにのと主人公ちゃんの絡みが好きなんです！これ読みたさにもう何度読んだことか！！ (2020年8月8日 7時) (
レス) id: 6d571bc65d (このIDを非表示/違反報告)
みに - こんにちは！もう無の証明4周目です！このお話本当に大好きで続編やビハインドストーリーも希望します！名前のところがAと表示されて変換出来ない状態なのでお知らせに参りました。お直ししていただけると嬉しいです。 (2020年6月2日 15時) (レス) id: 5d98a5a6f1 (このIDを非表示/違反報告)
nyaruru(プロフ) - 楽しみ過ぎてなかなか読み進めれなかったです。更新待ってました！と喜んでいたら、むか〜し高校生くらいのときに不思議だった話が出てきてびっくり！色の見え方や聞こえ方の話です。家族に話してみても共感されなくって、まさかここで出会えるとは感動しました (2019年11月8日 4時) (レス) id: d437e89628 (このIDを非表示/違反報告)
Chisa(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！ (2019年11月4日 4時) (レス) id: 660ab80a22 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - もう本当すごいです。情景がありありと浮かぶし、実写化してほしい。 (2019年11月2日 20時) (レス) id: 3159ad2d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月19日 17時
