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「エンパスの力が強いならなんか色々わかってきた……」
櫻井さんが、タオルで顔をごしごし拭いて、ふー！とため息を吐く。
私にタオルを返そうとして、私が心の中で洗って返してくれって思ってるのが聞こえたようでそのまま首にくるりと巻いた。
「借りとく」
「そのつもりでした」
「デスヨネ」
櫻井さんがフフフとまた笑った。
「俺ら、違う力だったんだな」
「ですね」
「なんでいちいち乗っ取られるんだ？って腹を立ててたけど納得した」
「……」
「の、わりに、冷静だよな。いや、逆か。いちいち絆されて感情が忙しいからこそ、俯瞰にならないと生きてけないのかな」
「……」
「休みの日とか何処も出かけずに家の中でひたすら外と遮断してるだろお前」
櫻井さんが笑いながら皆のもとに歩いていく。
「なんでわかるの……」
「人の感情にずっと同調してんだから死ぬほど疲れるだろ、当たり前」
「櫻井さんは……？」
「俺のは共感じゃないもん。ただ、聞こえるだけだから。レストランで皆がざわざわ喋ってるのと大して変わらん」
「……」
「どう？なんかいる？」
櫻井さんが松本さんに声をかけた。
「いやだから、誰もいないんだってば」
「なんで？マサトシくんは？鎌男は？」
皆が話してる中に入ると、二宮さんがこっちおいで、って言った。
ふらふらと二宮さんの方に向かう。
ホッとする。
「マサトシくんと鎌男はまぁおいといて。ミラーくんと看護師に会えたらいいな！」
櫻井さんが周りを見渡した。
時計を見たら、６時過ぎ。
お弁当を食べて中間さんにカメラの使い方を聞いて色々雑談してるうちにこんな時間。
日が落ちるには早いけど、天気が悪くて病院の中は暗い。
「どこで待機する？」
「どこが安全だろう」
松本さんと相葉さんがウロウロしてる。
「ねぇ、鏡……があるのってどこ？」
大野さんがそうポツリと呟く。
「そうだね、そこに来るんだよな」
松本さんがぐるりと周りを見渡した。
「一階のトイレは？」
相葉さんがトイレをひょい、と覗いた。
「鏡無いよ？」
「2階は？」
大野さんが階段の方に向かう。
「ちょっと！単独行動だめっていったの自分でしょ！」
二宮さんが追いかけるのを素直に私もついていく。
皆もその後ろを追いかけてきた。
階段に足をかけようとしたとき。
突然ゾワッと毛が逆立つような気がした。
「ん？」
松本さんが振り返る。
その視線の先に。
子どもが走って逃げる影が見えた。
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みつき - この章はにのと主人公ちゃんの絡みが好きなんです！これ読みたさにもう何度読んだことか！！ (2020年8月8日 7時) (
レス) id: 6d571bc65d (このIDを非表示/違反報告)
みに - こんにちは！もう無の証明4周目です！このお話本当に大好きで続編やビハインドストーリーも希望します！名前のところがAと表示されて変換出来ない状態なのでお知らせに参りました。お直ししていただけると嬉しいです。 (2020年6月2日 15時) (レス) id: 5d98a5a6f1 (このIDを非表示/違反報告)
nyaruru(プロフ) - 楽しみ過ぎてなかなか読み進めれなかったです。更新待ってました！と喜んでいたら、むか〜し高校生くらいのときに不思議だった話が出てきてびっくり！色の見え方や聞こえ方の話です。家族に話してみても共感されなくって、まさかここで出会えるとは感動しました (2019年11月8日 4時) (レス) id: d437e89628 (このIDを非表示/違反報告)
Chisa(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！ (2019年11月4日 4時) (レス) id: 660ab80a22 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - もう本当すごいです。情景がありありと浮かぶし、実写化してほしい。 (2019年11月2日 20時) (レス) id: 3159ad2d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月19日 17時
