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テレパスじゃない？
どういう意味だろう？
病院の裏口から入って扉を閉める。
傘の先からポタポタと水が落ちる。
櫻井さんが強めの光量がある懐中電灯をつけて皆の後ろを歩く。
皆が傘をおいた場所に自分の傘もまとめて立てかけて、カバンからタオルを取り出した。
一番濡れてる櫻井さんにタオルを渡す。
「はい、櫻井さん」
「あ、ありがとう」
「ねぇ、私がテレパスじゃない？っていうのはどういう意味なのかな……」
「うん、もしかしてAはエンパス寄りのテレパスなのかな？それなら納得なんだけど」
「エンパス？って何？」
「テレパスは人の思考が聞こえる、エンパスは人の感情が聞こえる」
「……一緒なんじゃ……？」
「違うよ」
櫻井さんが、ふふ、と笑う。
「どう違うの」
「エンパスは……共感といえばいいのかな……相手の感情を自分の中で共鳴する？というか……つまり共感能力が果てしなく強化された状態」
「……うん」
「テレパスは相手の思考を読み取りこっちの思考を伝える、電話と同じ。俺にも多少エンパス傾向はあるだろうけど共感、同調はしない」
「……えっと」
「Aは共感能力が高すぎる。……別の言い方するとAは無意識に他人と同調するんだよ。つまり……他人が憑依する」
櫻井さんが怖い目で私を見た。
「……え」
「自分を強く持て、じゃないとその中の奴に乗っ取られるぞ」
「……」
「お前自分の精神食われるぞ、ふざけんな！」
頭をポカリと叩かれた。
「どうしたらいいのかわかんない……」
「中のそいつ、裏切られた、許さないって言ってる」
ドキッとした。
それは私の感情なんじゃなくて？
「え……」
「……んーと、多分男。……中年かなぁ……」
「男！そんなことまでわかるの？」
「わかるよ、声が違う」
「え……アンナさんの時も？」
「うん。ドイツ語喋ってたよ。えっと……Er gab mir einen kleinen Blumenstrauß……」
「ドイツ語！」
「は？お前何語聞いてたの？」
「日本語だよ！普通の！」
「日本語？なんでドイツ人が日本語喋れるんだよ？はぁ？」
初めて気づいた。
私櫻井さんと構造が違う。
「初めて知った……」
「俺も」
「じゃあ外国人の心を読むときは……まさか」
「英語とスペイン語は平気。ドイツ語とフランス語はある程度。中国語と韓国語は少し？」
「……」
「……ん？」
「凄い」
「もっと褒めろ」
櫻井さんがニーッと笑った。
イラッとするのは中の男のせい？
そう思ったら何かホッとした。
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みつき - この章はにのと主人公ちゃんの絡みが好きなんです！これ読みたさにもう何度読んだことか！！ (2020年8月8日 7時) (
レス) id: 6d571bc65d (このIDを非表示/違反報告)
みに - こんにちは！もう無の証明4周目です！このお話本当に大好きで続編やビハインドストーリーも希望します！名前のところがAと表示されて変換出来ない状態なのでお知らせに参りました。お直ししていただけると嬉しいです。 (2020年6月2日 15時) (レス) id: 5d98a5a6f1 (このIDを非表示/違反報告)
nyaruru(プロフ) - 楽しみ過ぎてなかなか読み進めれなかったです。更新待ってました！と喜んでいたら、むか〜し高校生くらいのときに不思議だった話が出てきてびっくり！色の見え方や聞こえ方の話です。家族に話してみても共感されなくって、まさかここで出会えるとは感動しました (2019年11月8日 4時) (レス) id: d437e89628 (このIDを非表示/違反報告)
Chisa(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます！ (2019年11月4日 4時) (レス) id: 660ab80a22 (このIDを非表示/違反報告)
ぱん(プロフ) - もう本当すごいです。情景がありありと浮かぶし、実写化してほしい。 (2019年11月2日 20時) (レス) id: 3159ad2d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月19日 17時
