〇≠無の証明Ⅳ－１ (ページ6)

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「旅行の用意しなきゃ、何泊？」
相葉さんがぼそっと言う。

「俺行きたいとこあったんだ！伏見稲荷！湯豆腐も食いに行きたい！あと湯葉でしょ、あとは八ツ橋」
「観光に行くんじゃないよ……？」
松本さんの声も無視して楽しそう。

「あ、スーツじゃなくていいよ」
大野さんが途端に慌てだす私たちにそう言った。

「あ、そうなの？」
「Tシャツ短パンでいいの？」
二宮さんがキョトンとした顔で聞く。
この人は普段着になったら大学生くらいにしか見えないってこと私知ってる。

「旧館の中、あんまり掃除とか行き届いてないからスーツ汚れるし」
「……」
「蜘蛛の巣とか」

どうしようすごく行きたくない。
しかも女私一人だよね？

「Aは一人部屋ってことだよね？」
私の心の声を聞いて櫻井さんが聞いた。

「嫌？三人部屋とかにして誰かと一緒でもい？」
大野さんの非情な声。

「仕方ないなぁ、俺が一緒でもいいよ」
ふざける二宮さんについ答える。
「お願いしたい……」

「えっ」
みんなが一斉に私の顔を見る。
「二宮さんいらないから二宮さんの女神様だけ私と一緒にいてくれないかな……！」
「それは無理だね！俺とセットだからね！」

こういう時だけ一心同体です！って言い出すの何。

「女神様私の体貸してあげてもいいから」
「えっ」

松本さんがアハハハ！って笑いだした。
「女神様、前にA乗っ取った時ニノだけ助けて俺ら無視してたよな！ニノ抱っこしてたし！いいの？やばくね？」
「……やっぱヤダ……」

「はぁ？なにそれ！大人しく女神様に体を献上しなさいよ！」
二宮さんがいい声でそう叫んだら、ビリリ、と空気が揺れた。

「あ！降臨なされた！」
松本さんがひー！っていいながら机の下に潜り込む。相葉さんも、まぶしっ！って言って両目を抑えてる。

「ふざけないでホラ」
大野さんがそう言った瞬間、ピン、と高い弦のような音がして空気がぐにゃりと歪んだ。気がした。

「あれ？いなくなった」
松本さんがキョロキョロしてる。
相葉さんも不思議そうに周りを見渡した。

櫻井さんと目が合う。

……おかしくない？
……うん、やっぱり大野さんは力を増幅したり、力を制御したりする能力もありそうな気がする
……私は閻魔様がついてるのかと思ったよ？
……なるほど、閻魔様ってことは……お地蔵さんとかも関係あるもんな……相葉くんもお地蔵さんとオーラが似てるって言ってたな

その時。

コンコン、とノックの音がした。