〇≠無の証明Ⅳ－１ (ページ37)

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ホテル(05/27) ページ37

「……すみません。つい」
「いえ」
河東さんが戸惑ったように何度か頷いた。

チーム零に来てから何度か不思議な経験をしているからこそ、何でも霊のせいにする人にイラッとくるのは仕方ない。

「河東さん。なぜ、それを霊だと思いましたか？」
二宮さんが静かな声で聞いた。

「子供の霊を見たあとだったから……」
「子供の霊？」
「子供は……夜なのにはっきり見えて……だから……おかしいなと……」
「男の霊の方は？」
「暗闇から急に出てきた感じです」

二宮さんが頷く。

「子供の霊ははっきり見えたんですね」
「はい、周りは真っ暗だったのに廊下にしゃがんでる姿がはっきり見えました。……何というか、白く浮き上がって見えて」

二宮さんがなるほど、と頷いて、続けて質問した。

「……他にも何か、霊にまつわる何か噂を聞いたことがありますか？」
「あとは……若い男と女の看護師の霊を」
「若い男はどんな格好でしたか？」
「パジャマ、というか……入院患者のような」
「ちなみになぜ女の方が看護師だとわかりましたか？」
「看護師の格好をしていたからです」
「看護師の格好……当時の看護師の格好ですか？」
「いえ？現行の当院の看護師と同じ……」
「……旧館を使っていた頃はナースキャップにスカートに白タイツ、みたいな格好が主流だったと思いますが、今の格好なのですね？」
「……そうですね」
「わかりました、ありがとうございました。また何か聞かせていただくことがあるかと思いますがご協力お願いします」

河東さんは首を傾げてしきりに不思議そうにしている。

……この人可愛い感じかと思ってたらなんかちょっと怖い感じやな。見透かされそうやわ。気ィつけな……。

何を気をつけるのだろう。

……この人たちにバレへんようにせな……。またあの手を使うか……

バレないように？何を？あの手？

集中しようとしたら、どうやら河東さんと櫻井さんの目が合ったらしい。

……わ！かっこいい。すっっっごいかっこいい。かわいい。

「あー……櫻井さんがめちゃくちゃ邪魔……」
「オイ声が口からダダ漏れてるぞ？」

車から降りる体勢の櫻井さんに睨まれた。

「櫻井さんのせいで……」
「はぁっ？俺のせい？なんだよ急に！」
「あとで」

……面倒やけどまた仕込まなあかん。中間さんとかいうたかな、あの人も可愛かったからつい手抜いたけど……

河東さん黒だ。
……櫻井さんが使い物にならないのが大変だ。