５ ページ36
河東さんが私達の方を見て不思議そうに問いかけてくる。
「東京からわざわざここにお越しくださったのって……何かわけが？」
「近々バレると思うので言いますけど」
大野さんが河東さんに答えてる。
「僕達の目的はあの旧館を取り壊すことことじゃなくて、なんで壊せないのか原因を調べることなの」
「それは、霊が……」
「霊が出ても工事にカンケーないでしょ？霊なんてそこら辺にいっぱいいるのに」
「いっぱい？」
「いるよ。恨めしそうに河東さんを見下ろしてる人の姿見えないの？でもあなたは元気そうだし普通に毎日暮らしてるじゃん」
大野さん見えてないのに何を。
その言葉を聞いていた松本さんが笑った。
「大野さん本人に言っちゃだめ」
「え？え？」
「つまり。因縁のある建物を取り壊す際に霊が出ることはよくあるけど、重機を壊せる霊は珍しいんですよ、河東さん」
眠ってるのかな、と思っていた二宮さんがめんどくさそうに口を開いた。
「……」
「ましてや邪魔するために人に危害をくわえる霊がもしいるなら、俺らは霊を暴行傷害容疑やらなんやらで、捕まえなきゃいけないの」
「霊を……捕まえる……？」
「ただ確保ー！逮捕だ！手錠ガシャン！ってわけにはいかないのよ困ったことに」
「……」
「その場合、出ていってくださいってお願いするかもしくは」
「もしくは」
「消えてもらわなきゃいけなくなるね、お気の毒ですけど」
車がホテルについた。
河東さんが私達をぐるりと見渡す。
「あなたたちは……何者……」
「捜査零係。零は霊とかけてるらしい。チームゼロです、それ以上でもそれ以下でもない」
「……何するところ……」
「祟りとかそういうの調べてなんでもないですよって証明して安心安全な市民の生活をまもる係です」
二宮さんが一息に言った。
「……」
「工事できるようにすればいいんでしょ？工事は昼間にするじゃん。昼間何も起こらなければ工事できるでしょ」
「けど確か重機が壊されてたのは夜……」
「壊されたのは夜？なぜ言い切りました？」
私の目を見て河東さんが怖気づいた。
「壊す人が現れるのは夜ってことですか？」
「人ではなく霊」
「霊がどうやって壊すのですか？その霊は実体を持っているのですか？河東さんがみた霊は実体があった？」
「それは……」
「それは本当に霊でしたか？工事の邪魔をする人間ではありませんでした？」
「Aやめなさい」
大野さんに怒られた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月10日 13時
