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……なんだこいつらできてんのか。しょーもな。
とかいう声が聞こえてきた。
うっわぁ、焦った。変な汗出た。
松本さんがどうにかされるとは思わないけど、手とか握られてるの想像したら死ぬほど不愉快だ！
もちろん！櫻井さんが後ろから抱きつかれてるのとか想像しても鳥肌だけど！
心読んでやろうと思ってたのにちょっとこれ無理だ！
河東の心の中でもしも係長が組み伏されていたら！二宮さんが壁ドンされていたら！眠る相葉さんの髪撫で撫で！
ああでも櫻井さんが好みって言ってた！
お気の毒すぎる、最悪だ。
『かっこいいー！抱きしめられたいー』とか思われてるのうっかり読んだら櫻井さんそのまま後ろにぶっ倒れそう。
っていうか私の今のこの妄想を櫻井さんに読まれなくてよかった。危なかった。ふう。
エレベーターに乗り込んで、松本さんと二人きりになって、はぁーとため息が出た。
「マジ？あの人が？」
「マジです、心なんて読んだらこっちがしんどいです」
「……」
「美形同士ならまだしも……」
「え？」
「えっ？」
ああ、私ったら……！しっかりしろ私……！
松本さんがフフフと笑った。
「守ってくれてありがとう」
「いえ……気をつけて……！」
松本さんが苦笑して、ふいっと手を顎にやる。
「ところでその河東さん、背中に何かくっつけてるんだよね、真っ暗だから見えづらいんだけど」
「何かって？」
「多分、河東さんに恨みを抱いてる霊が悪霊になりかけてる」
「……え、悪霊」
「うん、近いうちに河東さん、具合悪くなったり霊障出るな」
「……霊障？」
「あ、本人が気づいちゃうやつ。枕元に立たれたり後ろから見られてたりすることに気づいちゃうやつね。金縛りとか」
「……」
「もし気づかなくても、痩せたり顔色悪くなったり肩こり酷くてずっとダルかったり鬱っぽくなったりするかもね」
「悪いことが続いて起こったり？」
私の問に不思議そうにする松本さん。
「悪いこと？」
「失恋したり事故ったり仕事でミスしたり家族が入院したり悪いことが続いてでお祓いに行ったりするでしょ？」
「ああ、そんな力の強い霊っているのかな？」
「え」
「Aと出会ってから給料下がるし彼女と喧嘩するし変な事件ばっかりだし迷惑」
「……」
「って言ったら私関係ないだろって言わない？霊も一緒だよ、人のせいにするなって言うよきっと。待って……あれ、噂の？」
旧館の前。
こんな炎天下にお婆さんが一人立っていた。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月10日 13時
