〇≠無の証明Ⅳ－１ (ページ30)

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「それだけじゃないってこと？」
二宮さんがうん、と頷いた。

「他に何があるの？」

「松潤も聞いてないからみんな揃ってからホテルで話そ、とりあえず打ち合わせする。ここあちぃ……」

大野さんがそう言った。
一番涼しそうな顔してるのに。

「じゃあ一旦戻ろうか、戻るよー」
櫻井さんが階段を降りながら松本さんと相葉さんの二人に声をかける。

松本さんと相葉さんが二人階段に並んで座って深刻な顔で話し合ってる。

「どうした？」
「……うん、うまく説明できないんだけどなんか妙なんだよね……」

そのとき。
窓の外に子供の笑い声が聞こえてギョッとした。
みんなも一瞬固まる。

相葉さんが窓の外を見て、そのまま非常扉から外に出る。
慌ててついていく。

「子供だ」
「え？」

細い道を通って裏手の金網の辺りに子供が集まってて笑ってる姿が見えた。

「ねぇねぇ、きみたち！」
私が声をかけたら、ぎゃー！とかわー！とか叫んで逃げようとする。

「待って待って」
「おばけ！」
「おばけじゃないよ！見て！足あるよー！ちょっと聞きたいことがあるの！」

私が足を見せたら少年の一人が私をじっと見て、小さな声でごめんなさいと言った。

「ん？」
「勝手に入ってごめんなさい！」
少年たちが集まってきた。

「すみません」
「勝手にごめんなさい」
「ごめんなさい」

泣きそうな子もいる。どうした。

「ん？」
近づいていったら子どもたちが私の足を見てる。可愛い。

「今ね、この病院の取り壊しするために色々調べてるの」
「幽霊病院壊すの？」
背の高い気の強そうな男の子が不思議そうにいう。

「幽霊病院？」
「うん、ここ幽霊病院やねん、2階に火の玉でたり、真っ白な男と女の霊がおる、ってお父さんとお母さんが言ってた」

背の低めの日に焼けた少年が大きな目をくるくるさせてそう言う。
「幽霊見たことあるの？」
「ない。なぁ？」
「うん、俺もない」
「俺もない、いつも来てるけど……あ」

ちょっとぽっちゃりしてる男の子が口を滑らしたように手で覆う。

「よく来るの？」
「怒らへん？」
「うん、怒らないよ？どうして？」

ぽっちゃりしてる子が言いづらそうに口を開く。

「この木」
「ん？」

横の木を見上げる。
ぽっちゃりしてる少年が怒られるかなぁ、ビワ勝手に食べちゃったしなぁって心の声が聞こえてきた。

「ビワの木だね、美味しいよねビワ！」
私がそう言ったら少年がぱあっと顔を明るくした。