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今度改装工事が決まってるビルのオーナーと施工日やガスや水道工事の件なんかをすり合わせて、8時に会社の最寄り駅についたら、二宮くんからLINEが来た。

「『駅で待ってる』?」
「Aー」

すんごいかわいい笑顔でこっちを見ながら、手首だけを動かすみたいに手をふる二宮くんを発見する。
もう二宮くんを見ても嫌悪感は湧いてこない。
普通に可愛いな、と思えるというか。

「おつかれさま」
「おつかれさま、ごはんいこ。何食いたい?おれはね、ビール飲みたい!」

二宮くんがゆるめたネクタイをまた、ぐっと下げた。
「じゃあ私も飲んじゃおうかな」
「え、飲めなさそうに見えてた」
「酔っ払うと面倒くさくなるから途中で自重するんだよ」
「面倒くさいって何?」

二宮くんが私を見る。
視線は一緒くらい?
並んで歩いたら、ヒール履いてる私と同じくらいかもしれない。
背の高さもそんな変わんないし、可愛いし、豆柴みたい。

うん。二宮くんは怖くない。
木下とは全然違う。うん。

嫌いで苦手な同期扱いから、澤部くんとか竹内さんと同じ仲良しの同期に格上げしてる。
たった一日で!
二宮くんってなんかすごい。

「面倒くさくなるというのは……えと、飲むとね、耳が聞こえづらくなる」
「ああ。わかる、距離感おかしくなるよね」
「呼吸もちょっと苦しい、たまに咳出る」
「……それアレルギーじゃない?」
「そうなの?お酒好きなのに!」
「じゃああんま飲んじゃダメだよ」

ふわぁ、話しやすい。
「今日は、少しだけにしようっと!」
「付き合ってくれんの?」
「もちろんだよ!」
「ねぇ、Aってこんな親しみやすい子だったのね」

二宮くんがくふ、と笑う。
「どんな風に見えてたんだろ……」
「Aの見た目がね、可愛らしい感じでしょ、目もくりくりしてて、童顔っていうか。服装もスカートで持ち物も全体的に可愛らしい」
「……そうかな」
「なのに近づくと、ビクッ!てなって、隅っこで目がこんな」

二宮くんが自分の目を指で釣り上げた。

「……そんなに?」
「可愛いのに怖い顔!私に近づいたら引っ掻くわよ!って顔!猫みたい」
「ごめんね……」
「告白なんてさせてくれなさそう。彼氏どうやって作るの」
「出来たことない」
「え……うそ」
「付き合ったことない」
「……」
「いいな、と思っても大体既婚者で落ち着いたおじさまとかだから」
「見えないよ……」
「見えない?」

二宮くんが悲しそうにため息を吐いた。

お→←う



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作者名:よしの | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年6月17日 4時

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