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でも、それは。
多くを望まなければ、という、条件付きだけどね。
深いため息をついたとき、松本さんが戻ってきた。
「……A？」
「はい？」
「確認したいんだけどいい？」
「……はい」
なんだろう、深刻な。
「新婦の子は、友達って言ったよな」
「……はい」
「半年前別れたって言ってた」
「……」
「でも一年前から二人は付き合って結婚したと聞いてた」
「そうみたいですね」
松本さんが隣に座って、足を組んで頬杖をつく。
「半年は二股されてたことになるよな」
「……」
「半年間、二人に騙されてた？」
「間抜けでしょ？わたし」
松本さんがふー、と溜息を吐く。
「で？やっぱり俺はAじゃねーと、とかさっきいいかけてたよなあの男」
「遅いですよねー。あのセリフ、どれだけ沢山の人を傷つけるかわかって言ったのかしら」
「……」
「……あんな派手に別れたんだから……私の元友人を幸せにしてあげてほしい」
松本さんが、困ったように眉を顰めた。
「あのさ。さっきトイレからパーティ会場に戻った周防サンがね？」
「あ！はい」
「俺の友人に、顔の怪我どうした？って聞かれてトイレで元カノにばったり会って話しかけたら殴られたって言ったらしい」
「……へ？」
「『襲いかかって話しかけたら』とは言わないよな、普通。確かに」
「……うわぁ、サイッテー」
「で、嫁の方が、訴える？とか言って、そこまでしなくていいって周防が言ったら、庇うってことはまだAのこと忘れてないの？とか言い出して」
「……」
「その質問に、周防が言葉をつまらせたらしいんだわ。で、Aはどこよ？って周りがザワザワしだした」
「ハァ」
「で、トイレにいたはずの俺も消えてるから、ブチギレてるAを俺がなだめて外に連れて行った、って事で着地したみたいだけど？」
ナニソレ。
「……なんかすみません……」
「え？なんで謝る？」
松本さんが楽しそうに笑う。
「あんなつまんない男と付き合ったせいで」
「後悔しないって言ったばっかなのに！」
松本さんがウケケって笑う。
「訴えられたりしたら、暴力奮った証拠はあっちにちゃんと残ってるし私不利だわ、暴行罪？とかなるのかな？」
「お前だって……服破かれて、あと、これ」
松本さんが私の腕を見た。
「内出血？」
「……え？」
「指の跡？」
「……見えない……どこ？」
「ひでーことする、俺ちょっと許せねー」
松本さんがを鋭い目で私を見た。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年10月13日 10時
