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「ニノー」
二宮さんが、臨兵闘者皆陣列在前、ナウマクサマンダバサラダンカン、
とかマントラを唱えて、刀印で斬りつけた。
そのタイミングと、大野さんがサヨリの前に立ちふさがるのが同じタイミング。
「え！」
全員がいっせいに、その行方を見守る。
光が空間を切り裂いて、大野さんの中に、音もなく吸収された。
「え」
がくん、と二宮さんの力が抜けて、慌てて大野さんのシャツを脱がせておなかを見た。
なにやってんの！
と思って、思い出す。
そういえば、二宮さん、前に悪い人をふっ飛ばしたんだった。
「ん？」
不思議そうに自分のおなかを見る大野さん。
「平気なの？」
「うん」
「どこも痛くない？」
「あ」
「ん？」
ぐう。
おなかが鳴った。
「腹減った……」
「……」
ふにゃあ、って笑顔にみんなの力が抜けた。
「何なんですか、あなたたちは」
「ああ！失礼、こういうものです」
櫻井さんがすっと警察手帳を開いて見せた。
「……何を……」
「犀東さんより、ストーカー被害にあってるとききました。方瀬川さんの彼女になる人は全員がそういった被害に遭われて自ら死を選ぶと」
「…それは」
「刑事課でお手上げになり、ここで零課が出動することに。私共はTEAM零と呼ばれてます」
「……」
「皆が口を揃えて呪いだ、と言った」
櫻井さんが腰が抜けてへたり込んでる女を立ち上がらせる。
「……呪いなどというものはこの世にはない」
「……」
「あるとするならば、生身の人間の嫌がらせ」
「……それをなぜ私に言うのです」
櫻井さんが、はあ、とため息を吐く。
「これが犀東さんの部屋にありました、……見覚えはありませんか」
櫻井さんが盗聴器の仕込まれていた三口コード付タップタイプの電源コードをテーブルに置いた。
「知りません」
「彼女の部屋に出入りできたのは、彼氏である方瀬川さんだけ」
「じゃあ、彼が仕込んだんじゃないですか」
「方瀬川さんの家にも同じものがありましたよ」
「私は知りません」
「方瀬川さんの家には行ったことがありますね」
「あります、仕事の件でお話した際に」
「その時ならあなたは出来たはずです」
「そんなおろかなことしません」
「おろかなこと？そうかな」
「おろかではありませんか」
「何故です、僕だって便利だから欲しいくらいですけど？彼女の部屋で使おうかな？」
「警察なのにあなた最低ですね」
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年7月15日 20時
