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「なんでもとりあえず一応できますけど」
……なんでもできるって言った？
「琵琶は無理でしょ、ギターとか」
「弾ける」
「ピアノ」
「勿論」
「弁も優れてるし恐らく演技力もありそうだし頭も絶対いいし、それにあの妖艶さ、弁天さまね、なるほど」
「……」
「なんのことですの？」
サヨリが、言った。
「あなた本当に巫女？偽物でしょう？」
私の言葉に、秘書みたいな人がこっちに向かってきた。
櫻井さんが立ち上がる。
「そんな見え見えの殺意振りかざしてくるとはね！背中に隠し持ってるその物騒なもの、仕舞いなさい！……あ、相葉くん！」
「了解！」
相葉さんが部屋に飛び込んできて、女の手をひねったら、銃刀法違反の刃渡りがある刃物がぽろり、と落ちた。
相葉さんが女の手をひねり上げる。
「この人がサヨリ？」
「違……」
「あっち？……ああ、そっか……ねえ、サヨリさん、あなたちょっとだけ霊力あるんだ」
相葉さんが悲しい声で、言った。
「でもさ、その体にくっつけてるの、女神じゃないよ。それあなたの生霊だわ、同じ波動だもん」
「……」
「だめだよ、生霊飛ばしたら、自分の体に帰れなくなっちゃうよ……？」
「何を言っているの。私の守護神は、市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)、別名は狭依毘売命(サヨリビメノミコト)、弁財天様です」
「やめときなって、ね？」
相葉さんが悲しい目で女を見た。
「……今神をおろして見せますわ。『ひ ふ み よ い む な や ここのたり』……」
「やめろ！」
二宮さんが声を張った。
はっとして女が二宮さんをみた。
「あんた霊力ちょっとあんの？」
「……え？」
「じゃあ、見えない？俺の守護神見えない？」
「……何も憑いてません、卑しい浮遊霊の類は私は見えませんし」
二宮さんの目がすっと細くなった。
また。
二宮さんの周りにだけ風がふわっと吹いて、二宮さんが妖艶に、笑った。
手かゆっくりと、刀印を結ぶ。
女が二宮さんの目を見て固まった。
「ニノだめ、生霊を祓ったらこの人どうなっちゃうの」
ものすごく冷酷な目で二宮さんが女を見下ろした。
「わが名を騙った報いじゃ」
「お待たせ、裏が取れた、あの……」
松本さんが部屋に入ってきて、二宮さんを見てうわあ、って声を出した。
「ニノ、人に向けて斬っちゃダメだって！」
「ん？」
大野さんが入ってきて、私たちを見た。
「止めりゃいいの？」
うんうん。
私たちがいっせいにうなづく。
だって私達全員金縛り状態。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年7月15日 20時
