〇≠無の証明 Ⅰ (ページ22)

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「で、本題です、翔さんにやれって言われたから盗撮カメラとか盗聴器とかないか調べるから。とりあえず、松本くんとA、友達の振りして入ってよ」
「……はい」

二宮さんが大野さんに持たせていた荷物の中からなにやら機械を取り出す。
盗聴器を発見するための機械？

松本さんと二人で入る。部屋を暗くしてもらって中の様子を窺う。
直接盗聴は、ご近所の様子からしてなさそうだし、電話回線はないと言ってたから、もしあるとしたら、無線を使ったもの。

スキャンを開始したら、すぐに反応がでる。
キーンといったハウリング。
反応の強い場所に近づく。
盗撮カメラはない様子だ。

ベッドの下の三口タップのコードタイプ。
コンセントを抜いたら、きーんというハウリングが消えた。
「……これを買った記憶は？」
「こういうものは使ってますけど……」
「もういっこ」

今度は、テレビの横の、三口コード付タップタイプのコンセント。
「これも前から使ってた？」
「……こういうものは使ってましたけど…色が違う気がしてきました。差込口、ブルーだったような……」
「すりかえられたか？」

「もういい？」
二宮さんが入ってきた。

「中開けるね」
ドライバーで中を確認したら、やっぱり盗聴器が仕掛けられている。

「やだ……」
「……この部屋に入ったことがあって、犀東さんに恨みがありそうな人は？」
「私、田舎から出てきて友人も少なくて……最近この部屋に引越ししてきてから出入りしてたのは、……方瀬川さんくらいしか……」
「方瀬川」

二宮さんが手帳を開いた。
「方瀬川絢也」
「……犀東さん、方瀬川に騙されてるってことはない？多額の保険金かけられて結婚しようと持ち掛けられたりとか」
「生命保険なんて、入院保険についてる百万くらいのしか入ってません」
「……マンションとか絵とか買わされそうだとか」

「Aどうしても方瀬川さんを犯人にしたいみたいだけど裏取れてる」
二宮さんが、ぽつりと言う。

「それ早く言ってよ」
「すぐ話が脱線するのは自分のせいだって自覚ないみたいだけど？」
むむむ。
私二宮さんもちょっと苦手かも。
と思ったら、

「……仕事に私情を挟まないでね」
とか言ってきた。

「二宮さんも読めるんですか」
「顔に書いてるの気付かないの！」
そういいながら、私の頭をパチン、と叩いた。

松本さんが、あ！ハムスターが！って小さく叫んだ。