霊じゃない？…7/23 ページ16
以前警察に相談したあとから、霊障が酷くなって、出来たら警察に相談したことを誰にもバラしたくないらしい。
相手が霊なら意味なさそうだけど。
しばらくしたら、相葉さんが喫茶店に入ってきた。
「……あー！松潤！Aちゃんも」
いつの間にAちゃんって読んでるの。
ってことはいちいち言わないほうがいいんだろう、きっと。
「……犀東さん……？」
相葉さんが彼女を見て、ぐるん、と周りを見渡した。
「……えと、相葉さんでしたよね」
犀東さんが、困ったように目を上げた。
「……松潤、見えてる？」
「見えない」
「……松潤には見えないの？」
「うん」
「なんですか？」
不安そうに犀東さんが相葉さんを見た。
「Aちゃんは、聞こえないの？」
「何をですか？」
「聞こえないんだ」
「……」
相葉さんが困った顔して彼女を見下ろした。
「犀東さんだよね？」
「一度お会いしましたよね、相葉さん」
相葉さんのこめかみに、つぅ、っと汗が流れた。
「ごめん、ちょっと松潤借りるね！」
そう言って相葉さんが松本さんを引っ張って、喫茶店の外に連れ出した。
ここから声は聞こえないけど、相葉さんが何を言ってるのかは、わかった。
『なんだよ？』
『……犀東さんが真っ暗でみえないんだけど、あの黒い中に座ってるってこと？』
松本さんが目を見開いた。
『真っ暗……？』
『……殺意しか見えない、話に応じる感じじゃないよ！』
相葉さんが松本さんに、そう言ってる。
『俺見えねーんだけど』
松本さんも焦ったように言った。
『Aちゃんは何にも聞こえないのかなぁ？翔ちゃんなら離れたところからでも、殺意とか強い意思は聞こえるじゃん』
そっか、私、犀東さんの中にあるかもしれない悪意なら読み取ることならできる。
例えば、呪われてるとか言って、誰かを陥れようと気持ちがあったり、私達を騙そうとする気持ちの有無、なんかを。
集中して犀東さんを見る。
……え？どうして相葉さんは松本さんを外に連れ出したの？
私、やっぱり呪われてるの？
怖いよ、助けて。殺される！
犀東さんの感情は、聞いた通りの、
切羽詰まった切実な叫び。
騙そうなどという感情は微塵もない。
また、首の後ろにピリピリと視線を感じた。
悪意のある視線。
彼女にふりかかってる呪いは。
松本さんには見えなくて、
相葉さんには見えないくらい真っ暗で、
私には感じられない殺意。
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作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年7月15日 20時
