25、ずっと ページ25
二宮くんが、元カノと寄りを戻した。
好き同士で別れたんだから、寄りを戻すのもそんな変なことじゃない。
未来に行ったって話も、どこまで信用していいのかわからないし、
櫻井くんなんかは、ごめん、ニノの言うことだから信用しようと思ってるけど、
本音は、何言ってんだって思ってる、ってハッキリ言って、二宮くんはそうだよね、って苦笑いした。
だけど、寄りを戻す前に、ああやって、不思議な体験をしたことを言ったことは、
私と決裂状態になりたくないから、運命に抗ってみるってことを言いたいのかもしれない。
なんて、自分のいいように解釈しなきゃ、
私の精神状態は保ちそうもないほどに、
どんどん惹かれていく。
私の飲みかけのお茶を、勝手に全部飲んだ。
帰りが遅くなったとき、家の近くまで用事があるからって送ってくれた。
好きだと言った漫画を貸してくれた。
彼女よりもずっと。
放課後、側にいたのは私だ。
「A、ちょっとこれ見てよ」
彼の声が聴こえると、私の心は踊りだす。
好きで、好きで、もう仕方なくて。
振り向いてほしい？
わかんない、
ただ、そばにいたい。
彼女よりも一緒にいたい。
体じゃなく、心で。
気づいたら、
二宮くんが、笑うと私も笑って、
二宮くんが、怒ると私も、怒る。
そうやって、心を重ねようとした。
二宮くんが、お前と一緒にいると気が楽だわーっていいながら、お昼寝。
すーすー寝息を立てる二宮くんの背中が出てたから、背中を直して髪に触れてみた。
「……ん？」
「あ、ごめん！」
やば。気づかれた！
慌てて、手を引っ込める。
眠そうに、とろーんとした目で私を見上げて、
そんな目で俺見んなや、って吐息みたいに笑いながら呟いた。
どんな目してたんだろ？
「ずぅっと、一緒に……」
「……え？」
「仲良しでいてね、ずっとね」
ふふって笑って、またすぅ、と眠りに落ちる。
私、もうダメかもしれない。
二宮くんが好きで、どうしようもない。
込み上げる涙をぐーっと飲み込んでたら、相葉くんが私の頭をポン、と叩いた。
「相葉くん」
「コピー、ついてきて」
スコアを持って、相葉くんが笑う。
立ち上がって、音楽室を出たら、涙がぽろぽろこぼれた。
「みんなに、バレちゃうよ？……見てるこっちも切ないよー」
苦笑い。
「ごめ……」
「俺には弱音吐いていいよー、協力は、できないけどね」
相葉くんが、私の額にでこぴん、した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1842人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
