26、部活内恋愛解禁(6/9) ページ26
らんちゃんと松本くんはとうとう付き合いだした。
部活内恋愛も、松本くんが、
『誰が決めたんだよ、そんなこと。俺がいいっつったらいいんだよ！』
とか松本くんルールで禁止じゃなくなって、らんちゃんもブラバンに入部した。
バイトがあるから、週2か3だけだけど。
二宮くんは、こんな緩い部活なのにサボることもなく。
毎日ちゃあんと音楽室に来て、時間になったら帰っていく。
遅くなった日は相葉くんが、
じゃあ俺がAちゃん送ってくねー！って言って、
おそらく、私の感情がうっかり吹き出してしまわないように、
そっとじっと見守ってくれてる。
相葉くんは、誰にも内緒の恋をしていた。
相手は一つ上の先輩。
家も近所で、先輩を追ってこの高校に入ってオケ部にまで入ったのに、その時先輩はもう同じオケ部に彼氏がいて。
相葉くんは告白することもないまま失恋した。
「俺のこと、弟みたいな子、って紹介された時さー、泣きたかったのに、先輩の弟でーす！って言っちゃって」
「……あー……」
「ニノとAちゃんしか知らないことだからね、内緒ね。ニノとは幼なじみだからバレちゃってさ」
ふふふ、って楽しそうに笑ってるけど、
どこか寂しそうで、
その姿を自分と重ねて、胸が苦しくなった。
「手、繋ごっかー」
相葉くんが笑いながら、言う。
「……え？なんで？」
「走るよー！ほら！」
「え！やだ！」
大きな手。
手をつないでみたら、心もすっぽり包んでくれたみたい。
「俺のこと、ニノだと思って！ダッシュ！」
「絶対無理！手の大きさも背の高さも、匂いとか雰囲気とか何もかもちがーう！第一、手を繋いで走ろうなんて奴が言うわけ……」
「タイミング悪ー！出てきちゃう！隠してもバレちゃうから言っちゃうよ？あれ見て」
「ん？」
コンビニから出てきた二宮くんと、その後ろをついていく、彼の、彼女。
当たり前みたいに手を繋いで、肩を並べて歩き出す。
二宮くんを見上げる彼女は、ほんと幸せそうで、見慣れたあの愛おしい猫背も笑ってるみたいに少し、揺れた。
「ああ！最悪！……車道に飛び出したい」
「よかった、おててつないでて！」
「これは、もしかして……」
「そう！手を繋いでるんじゃなくて保護誘導！」
「離してー！飛び込ませて！」
「被疑者確保！」
二人で揉み合ってたら、二宮くんがチラっと振り返った。
夕陽に照らされた横顔に、胸がズキッと音を立てる。
バカ。声が聞こえた気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1841人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゅう(プロフ) - 解放ありがとうございます。涙。だいすきです。。 (2019年10月20日 22時) (
レス) id: 94596ebf5a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - この学校に通いたいです。。こんな青春したい。。よしのさんのお話すごいツボです〜 (2016年1月6日 22時) (レス) id: 8994b070b7 (このIDを非表示/違反報告)
RAITO - こんにちは!!RAITOと申します。読ませていただきました。今までとは少し違うテイストの物語でわくわくします《*≧∀≦》青春の甘酸っぱい香り!! (2015年6月27日 11時) (レス) id: 485e47e579 (このIDを非表示/違反報告)
ちょりん(プロフ) - 高校までの6年やってたユーフォが出て浮かれてたら、最近始めたコンバスが！しかも担当が！勿論話も楽しくて(><)何があるのかドキドキしてます！ (2015年6月10日 1時) (携帯から) (レス) id: 83acbf6b6f (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょか(プロフ) - 青春、ＳＦ、長編、どんと来〜い♪ 楽しいです。切なさもありつつ、和の避けたかった未来、それでよかったのか和と、分からないまま 和を叱咤激励、主人公ちゃんを応援しながら日々過ごしてます。 (2015年6月9日 23時) (携帯から) (レス) id: 0bab093355 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よしの
| 作者ホームページ：
作成日時：2015年5月30日 17時
