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映画の撮影の空き時間にふとカレンダーを見て、ちょっとびっくりしてしまう。
まだまだ先だと思ってたのに、もうすぐ初めての結婚記念日が近づいてきていた
『撮影が始まると日付感覚が分かんなくなっちゃうな』
わたしの独り言は誰に拾われる事もなく、忙しくスタッフが行き来するスタジオに溶けていく
でも、わたしの中では結婚記念日よりも和くんにプロポーズしてもらった日の方が印象に残ってて、どちらかと言うと記念日はそっちの方だった。
『お邪魔しまーす』
「ん」
仕事が終わってから和くんのマンションに向かう
わたしが『お邪魔します』と言うと和くんは決まって、ちょっと不満げな顔をする。
この前 家で飲んでる時に「なんで【ただいま】て言わないの？」と聞かれて『わたしの家じゃないから』と返すと、「じゃあ一緒に住もうよ」と言われてびっくりした事を思い出す。
「一緒に住もう」と言われて内心はすごく嬉しかったけど、『うん』とは言えなかった。
だって、一緒に住むと、別れる時が辛くなるから。
今が幸せ過ぎて、いつも頭の片隅で終わりが来た時のことを考えてしまう。思い出が多くなりすぎて、あなたを失う事に耐えられないし、きっとわたしはその思い出を捨てられない。
何度もその時の事を考えるけど、わたしはその終わりに耐えられそうになくって
ねぇ和くん？
こうやって和くんに会うたびに わたしが『これが最後になるかも』て、心の中で覚悟してるなんて思ったことないでしょう？
リビングに入ると、いつものようにゲームをしてたのかゲーム用のテレビにだけスイッチが入っていた。
「今日泊まってくよね？」
冷蔵庫を開けながら、和くんに聞かれて『うん』と返事をしながらソファのそばにバッグを置く。
「今日さ、差し入れでケーキもらったの持って帰って来ただけど食べる？」
『いいの？』
冷蔵庫の中を覗くと、白い箱が入っていて、和くんがそ〜っと箱をテーブルに置いて中を見せてくれる。
『わぁ、きれいなケーキだね！誰にもらったの？』
仲にはフルーツがたくさん乗ったタルトが入っていた。
「ケーキ見た途端すごい笑顔になるじゃん」
『ふふ そうかな？』
「俺の顔見た時よりもテンション高いよ」
『そんな事ないよ』
「そう？」
『和くんが持って帰って来てくれた事が嬉しい』
「ふっ 俺を喜ばせるの上手いね」
『食べて良い？』
「いいよ、適当に飲み物も持って来て」
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作者名：water lily
| 作成日時：2018年5月6日 22時
