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春江「うちの息子は・・・皆さんに迷惑掛けてるんじゃないでしょうか?」
バイタルサインを測っていると、不意に春江さんに話し掛けられた
息子…ってことは征司郎の事だよね
迷惑を掛けられてないと言えば嘘になるし、
でも母親に面と向かって、あなたの息子は病院一の問題児ですよ!なんて言えないし…
答えに迷っていると、春江さんがハァとため息をついた
春江「いつも言ってるのに、人様の役に立つように生きなさいって。なのに、あの子ったら迷惑ばっかり掛けてるんですね」
迷惑がゼロか問われれば、答えはノーだろうけれど、彼の外科医としての技術に救われているのも事実
『渡海先生は…口は悪いし、ぶっきらぼうな所があります、
でも、難しい手術や患者さんの命が危険になった時、渡海先生が来てくれればもう大丈夫だって思えるような先生です
人に迷惑を掛けない医者なんていません、看護師を振り回すのが医者の得意分野ですから』
最後に笑いながら一言付け加えると、春江さんは嬉しそうに笑っていた
春江「良い看護師さんが傍にいてくれて、あの子は恵まれてるわ」
『…渡海先生もそう思ってくれてると良いんですけど』
春江「口に出さないだけで、あの子もきっと感謝してます、ぶっきらぼうだから」
『ふふっ、そうですね』
『渡海先生が病院相手に訴訟を?』
世良「はい…術中に…その…見落としがあったみたいで」
言いにくそうに口を開いた世良先生はカンファで征司郎が訴訟発言をしたと教えてくれた
術後の患者さんのガーゼ交換が一通り終わって、2人で後片付けをしている時に、「大きな声じゃ言えないんですけど…」と術後検査で肺静脈に腫瘍の見落としがあった事を教えてくれた
『当然…リオぺ(再手術)ですよね?』
世良「普通ならそうなんですけど」
『まさか…見落としを隠すつもりですか?』
世良「いえ!それは無いです、第一、もう渡海先生は腫瘍の残存を知ってる訳だから」
『あ、そうですね
じゃあリオぺしないのは?』
世良「リオぺを佐伯教授が執刀するのを渡海先生が断ったんですよ」
『断った…でも、他にオペできるのは』
世良「はい、他にリオぺ出来るのは渡海先生本人だけです
でも、家族の執刀は許されていない」
『それでリオぺの日程が決まらないんですね』
世良「…そういう事です」
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作者名:water lily | 作成日時:2018年5月1日 0時