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キュッ ギュ―
部屋にはコルセットを締める音している
『本当にこんなに閉めなくちゃいけないのかしら?』
ホプキンス「もちろんです、こんなものですかね」
コルセットを締め終わった後にバスト、ウェストとメジャーで測っていく
ホプキンス「色のご希望はございますか?奥様」
『特に希望はないわ、今年の流行は何色なのかしら?』
ホプキンス「今年は紫を取り入れるのが流行りですわ、奥様」
『じゃあ、何か紫を入れてくれる?』
「では紫のレースがよろしいです!!」
目の前で採寸しているホプキンスにしては、随分と幼い声が聞こえた気がする
『??』
ホプキンス「ニナ! 静かにしているのを条件に連れて来たのよ!」
ホプキンスのスカートの後ろからひょこっと顔を出したのは、まだ5歳ほどの少女だった
『あら、こんにちは』
ニナ「こんにちは、奥様
レースは薄い紫に染めましょう、ドレスの生地は薄いピンク色にして、髪はアップにしてラベンダーの生花を飾れば完璧です!!」
ホプキンス「ニナ! お黙りなさい、それ以上うるさくすると追い出しますよ!」
随分と具体的なイメージが出来ている子だと感心してしまう
『将来のオーナー?』
ホプキンス「申し訳ありません、どうしても付いて来ると聞かなくて…。」
『才能に溢れてるわ、将来が楽しみね』
ニナ「ありがとうございます!!」
ホプキンス「もう!……恐れ入ります」
『後継ぎの心配をしなくて良いなんて羨ましいわ』
ホプキンス「お二人のお子様なら、きっと優秀に違いありませんわ」
『…彼に似ればね』
コンコンッ
「入って構わないかい?」
扉の向こうから聞こえるのは噂の夫だ
『噂をすれば…ね
どうぞ?』
「そろそろ終わる頃かと思ってね」
いくら夫と言えど、コルセットだけしか身に着けていない姿を見せる訳にはいかない
パーテーション越に声を掛ける
『何か急ぎの用事?』
「最近、引きこもっていただろう?
良ければ、これからロンドンに行かないかい?」
『…ロンドン?』
「そろそろ薔薇が咲いた時の為に新しい花瓶でも準備してはどうだい?」
『素敵! 薔薇が映えるように白が良いわ、ヴィンセント』
クスッ
「乗り気になってくれて良かった、
どうかな?ホプキンス?」
ヴィンセントが入って来たことで一時的に端に控えていたホプキンス親子は恭しく顔を上げる
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作者名:water lily | 作成日時:2019年1月20日 23時