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ページ19

「他人が何を考えているか分からないのは当たり前のことじゃないか?」

『…夫婦に秘密があるのも当たり前のことなの?』

「…知らない方が幸せなこともある」


夫が何をしているか知らぬまま生活を共にして生きていくなんて出来ない


『わたしはトロフィーワイフにはならない、そう言ったのを覚えてる?』

「もちろん覚えてるよ、
まだ俺達が自分たちの意志で婚約する前、君が言った言葉だ」

『あなたとなら夫婦になれると思った』

「実際に結婚して夫婦だ」

『……こんなの夫婦じゃない!』


わたしの声が図書室に響いて、静寂に包まれる


『相手に言えない秘密を持ったままの2人がいつまでも上手くいく訳ないわ』

「秘密に目を瞑ればいい」

『わたしには出来ない』


これ以上の会話は無駄だと思い、立ち上がって部屋を出ようと扉に向かう

「A!」

『…ヴィンセント、わたしには無理なの

目を瞑れってくれる相手を探してちょうだい』

「それが出来れば苦労しないな」


ヴィンセントは立ち上がって近づいてくる

「俺には君しかいない、分かってるだろう」

『…愛してるわ、

でも、あなたには秘密がある』

ゆっくりとわたしの頬に触れる手には確かに優しくて、それが余計に切なさを増す


「誓ってくれ、A

何を知っても俺から離れていかないと」

『ヴィンセント』

「今ここで、俺に誓ってくれ」

頬に添えられたヴィンセントの手を両手で包み込んで手の平にキスをおくる

『ヴィンセント、愛してる、だから結婚したのよ

離れる事を考えられたなら、あの時婚約はしなかった』

わたしの言葉に短く数回頷くとヴィンセントに手を引かれて部屋を後にする



「これが何か分かるかい?」

連れられて来たのは滅多に入る事のない小部屋で、壁にはタペストリーが掛けられている


『これは…家系図(ファミリーツリー)ね?』

「そう、これが祖父で、これが母だ

俺と結婚したから、隣に君の名前も新たに刺繍させた」

『…』

何を伝えようとしているのか、ヴィンセントの意図がつかめない

「ファントムハイヴ家の当主は代々、ある役割を王室から担っている」

『役割?』

「英国の裏社会の管理、通称 女王の番犬」

『…女王の、番犬』

「汚れ仕事を担ってる、…どんな事でもする、たとえ人殺しであろうとも」

『…っ』

「これが俺の、

いや、この家の秘密だ」

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作者名:water lily | 作成日時:2019年1月20日 23時

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