Will you Marry me? 4th season (ページ24)

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助産師さんに分娩室まで案内されながら、車椅子を押している和くんが不思議そうに聞いて来る

『あれ、そう言えば・・・』

水が流れたような感覚がない

破水しないと赤ちゃんって生まれない・・・よね？

分娩台に乗って、薄い水色のガウンを着た先生が入って来る

『っ、ったい、ふぅ、はぁ、先生？』

「はい？」

『破水した感覚が無い・・・ですけど』

「そうですね、今からクーパーで羊膜破りますから、これで破水しますよ」

先生が説明するのが早いか、破るのが早いかと言うスピードでピシャッと床に水が落ちる音が聞こえた

「うわっ、すげぇ」

小さな声で横に立つ和くんが呟いた

「さあ、こっからは早いですからね！」

先生の言葉通り、あっという間に赤ちゃんは下に降りて来て、破水させてから30分後には「力んでー！」と言われていた

「二宮さん！もう頭出始めたからね、次のタイミングでしっかり力んで！」

そう言われても、疲れ過ぎて力むだけの体力が残ってない

「A、もうすぐ会えるよ」

和くんがタオルでわたしの汗を拭きながら言う

そうだ、もうすぐ会える

あともうちょっと頑張れば、この子に会える

「さあ、二宮さん、力んで！」

先生に言われたタイミングで最後の力を振り絞った

「頑張れ、A！」

まだ出て来ないのかと和くんがチラチラと先生の手元を気にする

「はい、力んでー！」

ギュウっと目一杯手に力を込める

ズルっ

『はぁ、はぁ、』

「おめでとう、二宮さん、

可愛い女の子ですよ！」

『はぁ、はぁ、・・・女の子？』

「やった！ A、・・・良かったっ」

『ふふっ和くん、泣いてるの？』

横を見ると和くんは片手で目元を覆っていた

「ほぉら、お母さんだよー」

先生の声がする方を見ると臍の緒を切ったばかりの我が子が胸元に置かれる

オギャアと頼りない声で、でもしっかりと自分で息をして生きている

『あぁ、・・・やっと会えたね

ありがとう』

生まれたばかりの温かさと、生きるために必死な小さな小さな体を抱き寄せる

さっきまでお腹の中にいたなんてね、なんだか不思議な気分だよ

「はじめまして、お前のママとパパだよ」

和くんがゆっくりと人さし指を手の平に近付けると、キュウと小さな手が握りしめる

「可愛いな、こいつ」

和くんが嬉しそうに笑う

『本当だね、

痛かった事なんて、もう覚えてないもん』

「ありがとう、A」

『ふふ、ありがとう、和くん』