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２人の結婚式の時はもっと大変だった
律儀なAはわざわざボスや母にも気を使って顔合わせの場を設けてくれた
おしゃれなイタリアンの店でうちの両親と私が先に着いて2人を待ってる間もずーっと「二宮はあかん、考えられへん、何考えてんねん、Aは」を繰り返していた
反対にうちの母は「ニノなら良いじゃない、ねぇ、いまるちゃん？」とボスの言葉を右から左に流して全く相手にしていない
コンコン
「遅くなってすいません」
『すみません、お待たせしました』
「二宮！お前呼んどいて遅れてくるってどういうこっちゃ！」
「何言ってんの？遅れてないじゃない、自分が早く来すぎただけでしょ？もう」
ボスの言葉をサッと母が否定して、残りの3人は苦笑いするしかない
同じ芸能界で仕事をしていて、お互いの事をよく分かっているから自己紹介の必要はなかった
「結婚式はいつ挙げるの？」
「有り難い事に2人とも仕事が立て込んでいて、式は1年後ぐらいになりそうなんですよ」
ウキウキと結婚について質問していく母と違って、ボスは「結婚式なんかせんでええ」とか「まだ俺は認めたって言うてない」を繰り返していた
『そこまでダメな理由ってなに？』
笑いを堪えきれずにボスに聞いてみると、あのお喋りモンスターが一瞬黙って
「娘の結婚は父親からしたら手放しで喜べないものなの」
そう言ったボスの顔は「明石家さんま」ではなく、父親の顔をしていた
「まぁ、でも結婚しますんで」
二宮さんがサラっとアラビアータを食べながら言う
「二宮！お前のそういうとこがダメなの！」
「何でよ？ おめでとうって言ってくださいよ！」
男2人の会話を聞きながら、女3人はワインを飲みながらどんなウェディングドレスが良いかという話題に集中していた
「A、何とか言ってよ」
『結婚の挨拶で父親からチクチク嫌味を言われるのは定番でしょ？』
「これは嫌味じゃなくて忠告！何を言うてんねん」
「何の為の忠告なんすか」
「結婚なんかしても良い事なんかないの！」
ボスが声を大きくして言うと、今度は母が噛み付いた
「それってどう言う意味？」
「結婚は失敗するやんか」
「それはそっちが悪かったんじゃない、ねえ？」
いつの間にか話がすり替わって、元夫婦の喧嘩が始まった
それからは有名な「たぬきの信楽焼事件」の話で元夫婦がギャアギャア言い争っていた
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作者名：water lily
| 作成日時：2018年12月31日 15時
