お嬢様の日常【探偵チームｋｚ】 (ページ18)

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１７．your side ページ18

さっきの若武君？凄かったなぁ…

それに、あそこにいた男の子たちはみんな顔立ちが整っていて、スーツも似合ってた。

あと、女の子も。

あの子はいい子だ。

私、そういうのわかるんだよね。

昔からいろいろな人を見てきたから。

あの子は、珍しい素直で純粋な目をしている。

正義感も強そう。

…私は、“普通”の中学生だったら、どうなっていたんだろう。

親のこととか、何も考えずにただひたすらに、部活とかしてたのかな。

自分の好きなことを、思い切りやれていたのかな。

私はA財閥の跡取りだから。

…そんな理由を崩して、完璧を目指さなくても良かったのかな。

『お前はまだまだだ。Aの名にふさわしくなれ。』

それがお父様のいつもの口癖。

努力はしてる。

でも、完璧には程遠い。

…A家には、私で良かったのだろうか。

世の中にはもっと完璧に近い人はいるのに。

その人の方が跡取りには相応しかったんじゃないか。

………弱い私は、そんな言い訳しか出てこない。

私は何のために頑張っているんだろう。

財閥の跡取りだから？

その為に完璧にならないといけないから？

………違う。私は、

『A、よく頑張ったな』

『偉いぞ、さすが私の娘だ』

………ただ、お父様に認めてもらいたい。

褒めてもらいたい。

………完璧じゃなくても、

愛されたかった。

ただそれだけなのに。

…そんな願いは叶わない。

誰も、私がこんなことを思っているなんて、思わないだろう。

私は家でも学校でも、どこにいたって、“完璧”を演じなければならない。

気の抜ける時はない。

いつでも完璧なA財閥の跡取りでなければならない。

………心の奥底で、こんなことを思っているなんて、誰もわからないんだろうな。

だって………

私には、誰かに本当の私を見せることが、怖い。

………こんなんだから、私はいつまでたっても蒼に頼りっぱなしなんだ。

本当の私を認めてくれるのは、蒼だけだ。

みんなは私のことを、“完璧”だという。

私の本当の姿は、

臆病で、脆くてダメダメな

ただの弱い人間だから。