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+5話+ ページ5

「るぅとくん?」


いつまでたってもころちゃんを背負ったまま動かない僕に、不思議そうに首をかしげる彼。



えっと、えっと、そうだ。



銃弾や莉犬のナイフでの攻撃を避けたときみたいに、体が道も覚えているはず。



無になれば...。

ぎゅうっと目を瞑って、頭を真っ白にする。









良かった。


ちゃんと、道も覚えているみたい。





3分ほど階段を降りたり、走っていると歩いていた莉犬に追い付くのは容易だった。


莉犬もこちらに気づいて遅い、という視線を向ける。






キョロキョロと辺りを見回してみるけど、広くて何もない場所だった。

あれ、車は?呼んだんじゃないの?





キキィー、


ころちゃんを背中から下ろしていると、物凄い速さで一台の車がきた。


ガチャっとドアが開くと、中から出てきたのは顔も声も僕が知るさとみ君。






「よぉ。るぅと、莉犬」



「遅い」


莉犬がイライラしながら乱暴に車に乗り込む。



僕はころちゃんを先に座らせようとして、ピタッと止まった。

莉犬ところちゃん仲悪いみたいだしやっぱり僕が間に座ろ。






「ん?何でころん無事なんだよ」


僕たちが乗り込み終わったのをミラーで確認すると、さとみくんは勢い良くエンジンをかける。





「るぅとくんが助けた」


莉犬が隣で骨折したらしき箇所を撫でながら顔もあげずに吐き捨てる。





「るぅとが、ころんを?気のせいじゃないのか」



「それがほんと。るぅとくん、おかしいの今日」


「ぼ、僕は別に...」




「いーや、おかしい」



否定すれば、その言葉まできっぱり否定される。


むぐぐ。





それよりも、ころちゃんも莉犬もこんなに大怪我をしてるのにさとみくんの荒い運転にも平気そう。


そういえば、静かだなと隣を見れば、
ころちゃんは二人の会話なんて気にしてないようで足をパタパタさせてバナナを食べていた。


なんて自由なんだ。






「るぅと、





お前は俺の一番の弟なんだから、失望させるなよ」



さとみくんの低くドスの効いた声にビクッと肩が上がる。




「は、い」





僕って、さとみくんの弟だったんだ...。



頭の中はパニックだったけど、それを表情に出すわけにはいかない。


たぶんこの人たちはボロを見せれば仲間でも簡単に殺せてしまうから。







「降りろ。着いたぞ」




荒い運転に揺れること30分と少し。

やっと目的の場所に着いたみたいだけど、






ああもう、早く元の世界に帰りたい。

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わこ - いいえ!そんなことないです!とっても好きなお話なので、たくさん待ちます! (2021年8月3日 22時) (レス) id: 48ef6fa197 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 喜世さん» 頑張ります…!めちゃくちゃ亀更新ですみません…(>_<) (2021年7月10日 22時) (レス) id: 50b0aef36e (このIDを非表示/違反報告)
喜世 - このお話ハマっちゃいました!更新がんばって〜! (2021年7月7日 21時) (レス) id: 48ef6fa197 (このIDを非表示/違反報告)
ひの - 星雨さん» ありがとうございます!マフィア系に最近ハマっておりまして...(*^^*) (2021年4月25日 15時) (レス) id: 50b0aef36e (このIDを非表示/違反報告)
星雨 - この世界観、めっちゃ好きです!! (2021年4月19日 16時) (レス) id: afebd09899 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひの | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年4月2日 10時

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