幽霊、なればいんじゃね?

＊Story ページ8

テルside


「お前が人間界で見てる霊は、今言ったように、凶暴化した霊だ。

それと、何か未練がある霊。」


「ほぉ」


俺は、時間ギリギリまで、こいつに霊界の規則を教えることにした。

教えられる限り。
時間が許す限り。

この仕事が終わったら、記憶は消えるっつーのにね。



「他にも、俺のようにパートナーを探しに行く霊もいる。」

「ふぅぅん。」


こいつ、自分から聞いておいて、絶対興味ない。


だが俺は、話してしまう。

話したくなってしまう。


それはきっと、こいつに勘づかれたくない何かがあるからだ。


「何か緊急事態が起きたときも、俺たち霊は人間界に行ける。」

「へぇ。


じゃあ質問ね。私は生き返るの?」


生き返るの、か。


「普通だったら無理だな。だが、今回だったらいける。」

「あ、生き返るんだ。」


今話していて、気づいたことがある。


こいつは、案外アッサリしてるってこと。


この世界に来たときも、自分が浮いてることに驚きもしてなかったし、
今だって、死んでるってのに、生き返るかどうかを聞いている。

クール、といったらいいのか。

こいつは、心がしっかりしている。
強い。


それともう１つ。

こいつ、イロハは、大事な部分がよくわかってる。

今までの会話でも、俺があまり触れてないとこを、ズバッと聞いた。


なぜ人間界に霊が行っているのか、や、自分の命のことや。

聞くことを聞く。

たとえどんなことでも。

こういうとこも含めて、心が強いのだろう。





これなら、今回の仕事を………



俺では解決できない、この仕事を。

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