烏よ、── ページ20
──数試合をして、東京遠征は終わった。
澤村「次は再来週の……、東京合宿だな」
澤村が階段を下りながら指を折って数える。
その澤村の言葉に、Aは少し渋い顔をして唸る。
『東京まで合宿か。観光したかったな……』
菅原「どうせ修学旅行で行けるだろ!」
わちゃわちゃと騒ぐ部員達を疲れたように見つめる烏養、武田の二人。
二人はこれから代わる代わる、宮城まで車を走らせなければならないのだ。
武田「頑張りましょうね……。烏養君」
烏養「おお。先生、俺が寝てたら容赦なくたたき起こしてくれ」
二人が部員達をバスに乗せる。
そして、烏達は東京から遠ざかって行った。
武田「はい! 皆さんお疲れ様でした!」
烏野高校に到着したバレー部に対して、武田が声を掛ける。
武田の目元にはくっきりと隈が出来ていて、疲れを主張していた。
武田「お伝えした通り、明日は体育館の点検が入るので部活はお休みです。しっかり休んで下さいね」
武田が微笑み、部員達がようやく肩の緊張を緩める。
『じゃ、お疲れ様でしたー』
Aはヒラヒラと適当に手を振り、学校を後にする。
Aの家は烏野高校にかなり近く、バスで通学する生徒が多い中徒歩で通学している。
綺麗な夕暮れの空が闇に塗り潰されて行くのを見ながら、Aは歩く。
歩くのに合わせて揺れるカバンには、この2日間の荷物が入っている。
『待ってろよ、春高』
Aはまだ見ぬ、絶対王者を睨みつけた。
──カァカァ、と烏が鳴く。
喧嘩でもしているのか、それは次第に大きくなって辺りに音を撒き散らす。
バサバサと忙しなく風切り音が響く。
暴れまわる烏。
不意に、烏の乗っている電線が大きくたわんだ。
一羽の烏がアスファルトに叩き付けられた。
カァ、と烏は小さく最後の声を上げて。
死んだ。
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紅嵐(プロフ) - 孤爪が狐爪になってますよー。 (2020年5月30日 8時) (レス) id: 1d90d43033 (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - テトさん» 分かりました! 頑張って会話、増やして行きます。更新は暇なときは異常に頻度が高いのでご安心を。 (2019年9月9日 7時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
テト - この作品とっても面白くて好きです。更新楽しみにしてます!武田先生と烏養さんとの会話増やして欲しいです!あと、松川さんと花巻さんと会話してほしいです!菅原さん推しです。 (2019年9月8日 23時) (レス) id: eecfed04fa (このIDを非表示/違反報告)
よもぎ(プロフ) - やった、及川さん推しが居ましたー! 夏葵さん、カミューさん、コメントありがとうございます。 (2019年9月7日 18時) (レス) id: 3bd3258fc4 (このIDを非表示/違反報告)
夏葵 - とても楽しく読ませてもらってます!及川さん推しです! (2019年9月7日 18時) (レス) id: 668af22414 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎ餅のわらび | 作成日時:2019年8月24日 17時