泡が17つ ページ29
雨音を聴きながら、軽い足取りで商店街の道を歩く。
晴れていたら出店が沢山あっただろうに、雨になって看板を下ろすお店も多々ある。
『あ…』
ふと、電気の付いているお店が目に入った。
看板には、街のお医者さんと書いてある。中には、誰もいないがそれこそ平和を表しているようで、何故がその光景に目を奪われて、見入ってしまう。
自然に足は、病院へ向いていて濡れた本を抱えるようにして前へ進む。
重い扉を押して中へ入ると、看護師さんが此方へ向いて「どうしましたか？」と優しい笑顔で問いかけてくれる。
診察室から出てきたもう1人の看護師さんは、「あらあら！ぼく、びしょびしょじゃない！」と言ってタオルで僕を優しく包んでくれる。
『ぁ、あの！この病名について教えてください！』
勇気を出して出た言葉はそれだけ。けれど、看護師は清楚に笑いながら待合室のソファーに座るよう、指示される。
大人しく座れば、僕を挟むようにして左右に看護師さんが座る。
「どれが知りたいの？ぼく」
『えっと、これです…！』
「これか。難しいよね、これは＿＿＿＿＿＿でね」
看護師さんは、僕が何故一人でいるのか聞かずにそっと答えてくれる。ポケットに入っていたペンと少し濡れた紙を出して、教えてもらったことをメモしていく。
「偉いわね〜、大人になったらお医者さんになりたいの？」
『は、はい！』
「素敵な夢ね」と褒めてくれた看護師さんに、『看護師さんも素敵な職業についててかっこいいです！』と言えば左右両方からギューっと抱きしめられる。
「なぁに、この可愛い子。うちに来ない？」
「全く。でも、可愛いのは同感。」
そうこうしている中、奥の診察室から男の人が出てくる。
看護師さんは、僕を抱きしめる腕を離しすぐに立ち上がる。
「お疲れ様です。院長」
「お疲れ様。おや？その子は？」
男の人の正体は、院長さん。院長さんの質問に、細かく答えていく看護師さん。話を一通り聞いた後、僕の方に近づいて身長を合わせるように屈んでくれる院長さん。
「初めまして、ぼく。雨の中濡れていたと聞いたけど、風邪は引いていないかい？」
『大丈夫です！』そう元気な声で答えれば、そうかそうか！と勢いよく笑い始める。なんだか少しシャンクスに似ている気がする。
「ぼくは、こんな所まで一人で来たのかい？親御さんは？」
その質問に、少し言葉が詰まり口を開ける。
色々あって船からでてきた。そう伝えれば、家出か。と言われる。全然違う。
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紫苑(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2023年3月5日 14時) (
レス) @page46 id: 44ea1afdd3 (このIDを非表示/違反報告)
穹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉話が更新される度ほんとにワクワクしながら読ませてもらっていました！何回も読ませてもらいます！お疲れ様でした！ (2022年9月16日 21時) (レス) @page45 id: 17ca666086 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - 完結おめでとうございます！嬉しい気持ちではありますが寂しく思います。お疲れさまでした！！ (2022年9月16日 20時) (レス) @page44 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
ココ丸(プロフ) - とっても素敵な作品です！本当に泣いたり笑ったり楽しませていただきました。だいっすきです！新作等たのしみにしていますね！♪ (2022年9月16日 20時) (レス) id: 17402642c9 (このIDを非表示/違反報告)
はくろー(プロフ) - おもろかったです!更新を楽しみにしてます(*^ ^*)頑張ってください♪ (2022年9月15日 20時) (レス) @page40 id: 284adcf210 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パチュリー | 作成日時：2022年9月12日 3時
