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苦しい二人 ページ49

唇をなぞる。
諭吉の指の微かな動きは。

まるで身体中を撫でられているような錯覚を、強くレイヤに与え……。

「……ああっ」

たまらず、息を漏らす。

「そうだな、レイヤ。この唇も、色気でしかないな」

諭吉の声が響く。

「いつもこの唇が、熱い息が、甘い声が……。私を苦しめる」

それは、とても近いのに。
……果てなく遠い声。

「この唇で、私の名を呼べ。レイヤ」
「ん…………、諭吉、さん……」
「もう一度」
「……諭吉さんっ」
「いい子だ、レイヤ」
「諭吉さんっ、諭吉さんっ!」
「もっと聞かせろ」

喉が枯れるほど、
何度だって、
諭吉の名を呼びたかったけれど。

噛みつくようなキスをされ、
強く抱きしめられて。

そうしたら、あとは……、

声にならない声だとか……、

自分の声とは思えない声だとか……、

唇から出てくるのは、それだけで。

でも、それは全部、諭吉に愛される中で、諭吉を思って出てくるのだから。

だから……、
名前を呼ぶのと同じだったらいいな、と思う。

「レイヤっ、レイヤ……っ!」

諭吉が自分の名を呼ぶのと、同じだったらいいな、と。

「そうやってっ、いつもっ、いつもっ、私を苦しめるっ! どうすれば良いのだっ!? もうっ、これ以上っ、私をっ、掻き乱すなっ! レイヤっ!」

何度も自分の名を呼ぶ諭吉の声が、……今日はいつもより苦しそうで。

……なぜだろう、私も苦しい。
……こんなに好きで、こんなに愛されて、……こんなに気持ちがいいのに。
……すごく、苦しい。

「…………ああっ、……ゆ、きち、さ……っ」

苦しい。助けて。

手を伸ばすとすぐに、諭吉の大きな手が、指を絡めて握ってくれたけれど……。

ああ、諭吉さん、苦しいです。

その愛が、激しくて、……苦しい。

人体の急所の一つだ!→←見えない傷を癒し、熱いコーヒーを冷ます



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設定タグ:文スト , 福沢諭吉 , 国木田独歩   
作品ジャンル:アニメ
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カナコ(プロフ) - はるこいさん» 感想ありがとうございます!作者冥利に尽きます、幸せです!キュンキュン大事ですよね☆一気にお読み頂いた後は、社長の腕の中ですぐに寝て下さい!くれぐれも、寝不足で体調崩したりしないよう、お気をつけ下さいね!今後もよろしくお願いします! (2017年3月29日 14時) (レス) id: 5accc3d174 (このIDを非表示/違反報告)
はるこい - はじめまして!社長との恋愛…凄くキュンキュンですね!!言葉の運びが上手で読んでて全く飽きないので睡眠時間も削って一気読みしちゃいました♪これからも更新楽しみにしています! (2017年3月29日 12時) (レス) id: 531fa6c09a (このIDを非表示/違反報告)
カナコ(プロフ) - りりさん» ありがとうございます!嬉しい!興奮して飛んだり跳ねたり走ったりしちゃいます!イッキ読みでお疲れではないですか?ぜひ優しくソフトにゆっくりと、社長にいたわってもらってくださいね(≧∀≦) 社長愛たっぷりで更新して行くので、これからもよろしくお願いします! (2017年3月26日 16時) (レス) id: 5accc3d174 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 今日、1から読みました!占ツク内で数少ない社長の小説なので、楽しみながら読みはじめました!読み始めたら最後、ハマってしまい結局全話読んでしまいました(^^)次の更新を楽しみにしてます! (2017年3月26日 13時) (レス) id: bb6c68ea55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カナコ | 作成日時:2017年3月18日 11時

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