第41話 ページ43
NOside
そんなに冷たい人ではないのかもしれない
トントンは今回の件を通してAという人物にそう評価を付けてみた
不意につけられたラジオ
流れていく声は数ヶ月前グルッペンとともに作業をしていた時と全く同じで
思えば時間も、空間の暖かさも、何もかもがよく似た現状で、けれど目の前にいるのはグルッペンではなく
自身の生死を決めるマスターで
あの美しいブロンドの髪も、いたずらっこく細められる紅い瞳ももう見れないのだ、と
理解してしまってもうダメだった
ぐっと堪えようと俯くが意味はなく、泣き顔だけは見せまいと片手で顔を覆ったが
それが合図になったかのように、トントンの瞳からは次から次へと雫が溢れてこぼれた
トントンは怒鳴られるか、ため息を吐かられる。そう予想してぐっと身構えた
だがそんなトントンの予想を180度回転して裏切って、マスターは優しくトントンを抱き寄せた
まるで泣きじゃくる弟を仕方なしに慰める兄のように。歳的には逆なはずなのだが
そんなことをされては耐えられるわけがない。トントンは彼に縋って泣いてしまった
そんなトントンに、彼はだだ「お前のせいではない」というだけだった
トントンは良いマスターを得たのだとその時理解した。たしかに冷たい所はある
だがそこにはしっかりとした理由があって、理不尽なことは何一つとしてない
故にあのような評価を付けた
腫れた瞼をさも当たり前かのように治してくれた時、トントンは自身の心に誓った
この人だけは、守ってみせる
今は保護される身ではある。だがこの人が自身を必要とするのであればその時は全力を尽くす、と
犬扱いされるのは正直言って嫌だ
けれど、そう扱っていないといけないような理由がこの人にはあるのかもしれない
そう思えば我慢はできるし理解もできる。自身も元は軍人だったのだ
敵兵を犬のようだと揶揄したことは幾度となくあるし、そう揶揄されたこともある
少しの屈辱くらい、どうってことはない
そう結論を出し、トントンはマスターに向かって照れながら笑ってお礼を言った
すると彼は少しのため息の後
ほんの少し、本当に少し
ふわりと笑ったのだ
それがなんだかトントンはとても嬉しく思って、ニコニコと微笑み返せば若干引かれた
氷のように冷たい、そんな人だと思っていたがその考えはトントンの中ではこの日完全に消えたのであった
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愛月咲良(プロフ) - スマホ没収されてる間にこんなに更新されててとても嬉しいですありがとうございます続編行くの早いですね！おめでとうございます(*ﾟ▽ﾟﾉﾉﾞ☆ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ (2021年7月18日 19時) (
レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
宇琉夜ハル(プロフ) - 27話で貴:となってますよ！ (2021年7月13日 19時) (レス) id: c64b9591b6 (このIDを非表示/違反報告)
レイモ - 和紙さん本当にすごいですね､､､新作有難うございます！更新のしすぎで体調など崩さないようにしてください！毎日和紙さんの作品見返しています！神作品をこれからも作り続けてください！応援しています！ (2021年7月4日 23時) (レス) id: 2eb1ed3a12 (このIDを非表示/違反報告)
黒狐の八尾狐(プロフ) - 新作ありがとうございます…今回も発想が素晴らしい…想像の斜め上以上でした…(？)体調に気をつけつつ無理しない程度で頑張ってください！応援してます！ (2021年7月4日 19時) (レス) id: 87bbf51bed (このIDを非表示/違反報告)
あほ - 神作品を見つけてしまった...よくやったワイ！ (2021年7月4日 18時) (レス) id: 7787f6d795 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年7月4日 11時
