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貴方side
街を歩いていた
寒い街を、冷たい風に叩かれながら歩いていて、ふと思ったカフェに行こう、って
あのお気に入りのカフェに行こう、って、思った。それなのに
貴:あのカフェって、何処のことだ？
俺は、静かにそう呟いた。大好きなハーブティーの味。三十年近く通った、あのお店
ドバッと冷たい汗が出た
何故か落ち着かなくて、いつも歩いていた道を走って回り始めた
どこだったっけ
どこだったっけ
どこだったっけ
貴:あの、お店、どこだっけ。
もうおじさんに会えない？もうあのハーブティーは飲めない？
考えれば考えるほど頭が真っ白になって、やがてもう諦めようかと思った時
細い人気のない路地に、懐かしいと思える看板を見つけて、吸い込まれるように中に入った
貴:、、、おじさん。
「おぉ、、、いらっしゃい。席は空いとる、どこにでも座りなさい。
貴:、、、うん。
ブワッと何かがあったかくなった感覚がして、真っ白だった思考も正常になった
いつも通り、、いや、久しぶりにハーブティーを頼んで一口飲む
あぁ、そう、これだ
貴:おじさん。また味変わった。
「んー？なんじゃって？？
貴:、、、おじさん、また老けたな。
「まだまだ現役じゃよ、ふぉっふぉっふぉww
前と同じような会話に、前と変わらないおじさんの笑顔
変わってしまったのは俺で、、、あぁ、俺、いつのまにこんなに変わっちゃってたんだろう
貴:おじさん、、、俺のこと覚えてるの。
「おぉ、、、名前は覚えておらんが、優しい子だったのは覚えておるよ。
貴:え、、、？
いつもと違う返答と、ぽん、と頭の上に乗せられたしわくちゃな手のあまりの軽さに驚く俺に
おじさんは言う
「なんじゃ、泣きそうな顔をして。まったく、人前で泣かんのは変わらんのぉ、、、。
頭の上でゆっくり左右に動く手は、三十年前より動きが変だ
それでも
嬉しいのは、なんでだろう
涙が出るのはなんでだろう
「落としたなら拾えばいいんじゃ、投げてしまったなら取りに行けばいんじゃよ。
貴:、、、なにを？
問うた俺に、おじさんはいつもと変わらない笑顔で俺の胸を指差して言った
「欠けた心じゃよ」
いつからか捨てた心
いつからかひび割れて動かなくなった心
欠けて、崩れて、ボロボロになった心
持っていても仕方ない
持っていても面倒くさいと捨てた心を
今更取りにいけるかな
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ゆき - いい物語でした‼作者さんありがとうございます。 (1月4日 12時) (
レス) @page42 id: 3fb3742587 (このIDを非表示/違反報告)
ウィリー - 一気読みしました、すごくいい物語ですね…！！書いてくれてありがとうございます！！！！これはアニメ化してもいいのでは！？！？いつも応援しています！ (2022年9月2日 12時) (レス) id: 19daafe7ae (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 作者様、、。こんないい物語つくってくれてありがとう、、、。ゴザイマス←敬語使い慣れてない人 (2021年12月20日 18時) (レス) @page43 id: f731cae52b (このIDを非表示/違反報告)
かに(プロフ) - 一気読みしちゃったんですけどとにかく最高です、、泣きました！他の作品も一気に読んでいて他の作品でも泣きました！応援してます！ (2021年7月31日 18時) (レス) id: f85de546f7 (このIDを非表示/違反報告)
闇雲玲華(プロフ) - 一気読みして主人公がやり直した回数数えてみたら思ったよりしてなくてすごってなってしまった (2021年2月28日 12時) (レス) id: 72af1bed3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年11月19日 23時
