第51話 ページ6
貴方side
秋瀬が前世を覚えていたのにはびっくりした
泣くほど殺したくないと願った相手と、巡り巡ってまた会えた
これこそ奇跡と呼べるのではないだろうか。奇跡は一度しか起きない、二度はない
もう、失いたくない
眠い、といって再び眠ってしまった秋瀬の髪を整えてから布団に戻り横になる
そして瞼を閉じると
夢を見た
軍旗が風に流されはためいているアルダの軍旗ではないその軍旗には見覚えがあった
あたりを見渡せば、味方の兵は一人たりとて見えない、荒れた大地にたった一人だった
懐かしい記憶を読み返しているものだ、と思いながらも、腰に差された剣の柄に触れる
体調も悪くなかった
戦略も悪くなかった
天候も悪くなかった
ただ、
一人だけだっただけで
ただ、
仲間がいなかっただけで
それが敗因になるなんて思っても見なかったし、計算に入れていなかった馬鹿な自分に苦笑する
風になびくワインレッドと
揺れることを知らない赤色
「初めは俺が勝ってたのになぁ」なんて、呟くだけ無駄なのだけれど
「悔しいなぁ」なんて、何度言えば気が済むのやら、わかったものではないし
ただ、『負けた』と言うことが、認めたくないほどの事実で、それが嫌で嫌でしかたなくて
冷や汗ましましで地面を眺める自分がどうしようもなく惨めに思えて
負けることは
手にかけてきた者達を
馬鹿にしているようなものだと
思っていたから
撃ち殺してしまった最愛のバディに、恥をかかせてしまった気がして
今までやってきたこと全てが、その時世界の全てから否定されてしまった気がして
後悔と、悲しみしか思い出せない人生を否定してくれる人がいないことに気がついてしまって
心のどこかでまだ期待していた軍への思いも、水泡となって消えてしまって
俺はこんなにも惨めに地面に転がっているのに、目の前のこいつらときたら
折られることも折れることもなく
互いの肩を支え合い
笑っていた
俺にはなかった、俺の作りたいものがそこにありありと、手の届かないものだとして見せつけられて
崩れ去った軍への信頼と、夢と、淡い期待と
壊してしまった、俺の愛する全てが
もうないのだと、叩きつけられてしまって
涙はなぜか出なかった
ただただ悔しいと思った
だから俺は、復讐をする
独りよがりだと言われても構わない。そんなの理不尽だと言われても、肯定も否定もしない
走り出したブレーキの壊れた列車は
もう止まらないのだから
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ゆな - 更新ガンバレェ！！一番右の星をぽっちとしました←言う必要あったのかなぁ？まぁいいや では応援してます！ (2020年3月23日 14時) (
レス) id: df7125e07b (このIDを非表示/違反報告)
全員嫁 - 新しいのが投稿されていて凄く嬉しいです！！！これからも頑張ってください！無理はしないようにして下さいね！ (2020年3月16日 6時) (レス) id: a8834356f6 (このIDを非表示/違反報告)
４７ - 16話で「ナビゲートは大丈夫がやる。」になっていますよ〜｡ (2020年2月23日 20時) (レス) id: 08487fa41c (このIDを非表示/違反報告)
樂-Raku-(プロフ) - 泣きました､､､これからも頑張ってください(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年2月7日 18時) (レス) id: 1cdd0676ea (このIDを非表示/違反報告)
梅酒緑茶(プロフ) - 続編おめでとござます！！大好きですううう (2020年2月6日 17時) (レス) id: e7f71a0c68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：地縛霊
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年2月4日 21時
