KISS ME BABY【0830BD企画/J.M】 (ページ7)

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■０７■ヤキモチページ7

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「ただいま……」

明かり一つついてない静まり返った部屋に自分の声がむなしく響く

手にしていたバッグを無造作に床に放り投げた

ヤキモチとか柄じゃない

そう考えれば考えるほど胸が苦しくなる

違うよな

違うって言ってくれよ

ソファに体を投げ出してクッションを抱きかかえた

俺、ダメだな…

泣きそうになってる自分に笑いがこみ上げてくる

なんだよこれ

ずっと放っておいたからじゃないのか？

いや、そんなつもりは無いよ

何時だって一生懸命向き合ってきたつもりだよ

仕事柄ムリがある事は分ってくれてるはずだし…

ゆっくりと閉じていた目を開いた

暗闇に慣れて来た目にレコーダーのデジタル表示が眩しい

本当に分ってくれてたのかな

もしかしたら分ってるって勝手に思い込んでただけじゃないか？

仕事の付き合いで仕方なかったのかもしれないじゃん

俺だって強引に誘われたとはいえさっき女の子と一緒だったじゃん

それとこれは違うって言えるのか？

だけど

だって

子供みたいな言い訳を心の中で繰り返していたら

何時しか眠ってしまっていたようだった

ふわりと鼻を掠めた甘い香りに目を覚ます

Aの香水の匂いだ

少しだけ墨の香りもする

『潤…寝てるの……？』

動いた空気が体温を乗せてくるから直ぐ近くに居るのを感じる

俺は起きてるのを悟られないよう静かに息を潜めていた

『こんな所で寝ちゃって…仕方ないなあ…』

溜息をつく音が聞こえる

こんな所で寝るような男よりさっきの男のほうがいい？

俺なんかよりガタイも良かったよね

爽やかなスポーツマンって感じだっけ？

俺とは真逆な感じだったね

ねえ、俺とそいつ

どっちがいいの？

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