【ハイキュー】俺の汚れたこの手では＿＿及川徹＿＿

距離20cm ページ21

「この小説はここが盛り上がっててすごい面白くない？！」



「はい、とても」






にこにこ





そんな言葉が似合う君の笑顔。











純粋な笑顔ってこんなに綺麗なんだ。


















「あ！そーだ！ね、今度さ一緒に本買いにいかない？」
「本、ですか？」
「そう！本！この前さー、新しくできた本屋さん見つけてね？！品揃えすごくて！」
「へー……行ってみたいです」



あ、目が輝いてる。









よっぽど本、好きなんだなあ。








その目を俺に向けてくれないかなー、なんて。















そんなの無理か。











この子の目に映る物や手に触れる物は全て純粋でなければならない。







綺麗でなければ。













俺は





俺は……綺麗では、ないから。


















君に触れた途端、きっと泡か何かになって消えて君の記憶からも砂のように零れ落ちるのだろう。














ドロドロに溶けた俺の心は

綺麗に澄んだサラサラな君の心にはとても不釣り合いで。


















きっとね。隣にいられるだけで奇跡なんだと思う。










その奇跡は当たり前なんかじゃなくて。

















こんな明日もある、なんて日常が当たり前のようにやってくるわけではない。

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