日常45 衝突 ページ8
寂雷に会うべく、少女はシンジュクの地に降り立つ。
しかし、ここで問題が発生。
少女は寂雷のいる病院への行き方を覚えていないのだ。
一度だけ行った時も、少女は車で寝ていたため、道など見ていない。
一度行くと覚えられるのだが、どうも地図が苦手な少女は早くも絶望していた。
「…よし、取りあえず右に曲がろう。」
少女はこのままここにいても通行者の邪魔になると考え、取りあえず何とかなるかといったノリで歩き始める。
少女が歩いて10分経った頃、とあるビルの前を通る。
しかし、神の悪戯かちょうど少女が通り過ぎるタイミングで、多くの段ボールを抱える男がビルから出てきて少女に衝突した。
「うわっ。」
「えぇ!?」
どうやら男は段ボールで視界がふさがり少女が見えていなかったらしい。
落ちた段ボールとしりもちをついた少女と男。何ともシュールな絵である。
お互いに何が起こったのか理解できず、沈黙が三秒ほど続いた後
「も、ももも申し訳ございません!!」
男が華麗に土下座を決めて少女に謝罪した。
「え、…え!?あの、大丈夫!!大丈夫ですので、顔をあげてください!」
男が土下座をかますと周囲の視線が集まり、少女はいたたまれなくなり慌てて男に声をかける。
「私、こういう者でございます。この度は大変申し訳ありませんでした。…本当、俺はいつもいつも人に迷惑をかけるんだ。きっとこれからも。あぁ、どうして俺は俺は俺は…」
「あ、あの〜、観音坂さん?私は大丈夫ですし、今回の衝突はお互いに非があるかと…。」
「しかし!」
「過失は50:50です。」
少女はとある漫画のニット帽が似合うあのFBIのセリフを良い、このセリフの使いどころあった!と内心興奮していた。
それに対し、この男、観音坂独歩の雰囲気は暗くなる一方で少女は悩む。
「あ!あの、でしたらお詫びという形で、神宮寺寂雷さんの病院の場所を教えていただけませんか?」
「え?先生の?」
「はい。用事があったんですけど、道に迷ってしまいまして…。」
「実は、俺もそこに向かおうとしていたので、一緒に行きます?っは!俺みたいなおっさんの隣にこんな若い女性が…」
「本当ですか!?ありがたいです!」
独歩が提案しておきながら勝手に落ち込む中、それをスルーして少女は食い気味に喜ぶ。
スルーしたかったなどの意図は少女にはなく、ただ単に途方に暮れていたため有難い提案だったのだ。
少女は何とか独歩を説得しともに寂雷の待つ病院へ向かった。
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芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです!気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは!すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで!)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて! (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません(笑)無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年7月14日 22時