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日常79 本 ページ47

「Aさん、こちらに来ていただけますか?」

「あ、はい!」

少女は縁側から立ち上がり、幻太郎の元へ移動する。
するとたくさんの本があった。全部で約10冊ほどある。

「これ、全部クローンについてですか?」

「えぇ。」

「うわ〜、たくさんですね。」

「結局没になったんですけど、クローンが関わる本を書こうとしていた時期がありまして…」

「成程。作家さんってすごいですね。」

少女は幻太郎の仕事に感心しながら本を一冊ずつ見ていく。

「この二冊を借りても良いですか?」

「勿論です。」

少女は本を選び抜き、二冊の本を借りることにした。
そのまますぐに帰るのも寂しいので、少女は幻太郎と少しおしゃべりすることにした。

「夢野さん、一人暮らしですか?」

「そうですよ。」

「広い家だと掃除が大変そうです…。」

「お手伝いさんがいまして。」

「やっぱりですか。この家の掃除は一人だと大変そうですもんね。」

「ふふ。嘘ですよ。」

「え!うわー、久しぶりに騙されました。」

幻太郎特有の嘘が発動、久しぶりだったし現実味のある嘘だったので少女はまんまと騙されてしまった。

「Aさんは表情が豊かでとても面白いです。」

「え〜それ褒めてます?」

「褒めてます。」

「なら良いや。」

何気ない会話ではあるが、幻太郎は少女と話すのが楽しかった。

「そういえば、Aさんは乱数や帝統の事を名前で呼んでますよね。」

「?えぇ。そうですよ。」

「…ふむ。小生だけ苗字なのは仲間外れ感があって寂しいですね。」

「?幻太郎さん?」

「うん。それが良いですね。」

「わかりました。幻太郎さん。」

「ふふ。はい。」

幻太郎は少し前から、自分だけ苗字呼びであったことを気にしていたらしい。
自分だってこの少女と友達になったのだ。
なら、友達らしく名前で呼んでほしいと思った。

少女も名字で呼ばれることがあまり好きではないため、幻太郎に頼まれて断るという選択肢はなかった。
名前呼びを許可されて、距離が縮まったように感じ嬉しかった。

それからほのぼのとした雰囲気が流れ、一時間ほど話していただろうか。
そろそろ少女が帰らなければいけなくなったので、二人で駅に向かう。
幻太郎が暗くなってきているので少女を駅まで送ると言い出したのだ。

駅まで二人で話しながら歩き、改札までたどり着いた。

「では、一週間後お返ししますね。」

「はい。待っていますね。」

一週間後の約束をして少女は帰路についた。

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芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです!気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは!すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで!)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて! (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません(笑)無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年7月14日 22時

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