人間洗浄機２

日常78　課題 ページ46

「はい、今日の講義はここまでです。あと、課題がレポートをお願いします。」

生物学の授業で、来週が休校になるかわりにレポート課題が出た。
内容は＜クローンをどう思うか＞である。

少女は参考文献に困った。

「もしもし、夢野さんですか？」

「はい。どうしたんですか？」

「実は…」

少女は作家である幻太郎であればもしかしたら参考文献になりそうな本を知っているかもしれない、と考え幻太郎に電話をした。

「あぁ、それならばいい感じの本がうちに何冊かありますのでお貸しします。」

「良いんですか？」

「勿論ですよ。」

「ありがとうございます。じゃあ、今日借りに行っても良いですか？」

「えぇ、では駅で待ち合わせをしましょう。」

幻太郎から本を借りられることになり、少女はシブヤへと向かう。
シブヤ駅では幻太郎がすでに待っていて、少女は慌てて幻太郎のもとへ走った。

「お待たせしました。」

「こんにちは。では、小生の家へ行きましょうか。」

本がたくさんあるらしく、幻太郎の家で参考文献になりそうな本を少女が選ぶ、という事になっているらしい。
二人はシブヤの街を歩き進める。

「夢野さんの服装は遠くからでも夢野さんってわかるので素敵ですね。」

「そうでしょうか？時代遅れだと思われていそうですが…」

「お似合いですよ。その人に似合う服が一番です。」

何気ない会話を繰り広げながら幻太郎の家へと足を進めると

「着きました。」

「お〜！和風ですね！」

幻太郎のイメージにぴったりの日本家屋が建っている。
少女は想像通りの家に興奮しながらお邪魔する。

「お邪魔します。」

「あちらの部屋で待っていてください。お茶を準備いたしますので。」

「あ、おかまいなく。」

幻太郎は少女に出すお茶を入れに台所があるであろう所に行く。
少女は幻太郎に言われたとおりに部屋で待つことにした。

「…縁側って良いな〜。」

部屋には縁側があり、少女は縁側に興味を示した。
時刻は夕方。
夕日が差し込む縁側はあたたかな雰囲気である。少女は縁側に座り込んだ。

「おや、Aさん縁側でよろしかったのですか？」

「雰囲気に負けてしまいました。」

お茶を持ってきた幻太郎は夕日に照らされた少女を見て息をのむ。
いつも明るく元気な少女がとても儚いものに見えたからだ。

「Aさん、こちらに来ていただけますか？」

幻太郎は本を紹介するため、少女を近くに呼ぶため、部屋の中に少女を手招いた。

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