日常39 熱 ページ2
「兄ちゃん!」
「お?どうした二郎。そんなに慌てて。」
「Aが!Aが!」
「Aがどうした?」
「何だ低能。騒がしいな。」
一郎が自室で新刊のラノベを読んでいたところに二郎が慌てて入ってくる。
その顔はどこか泣きそうで、一郎はただ事ではないと感じ冷静に二郎に問いかけた。
また、二郎の声の大きさに三郎も部屋から顔を出した。
「Aが、えと、もたれかかってきて、熱くて、苦しそうで…」
「Aはどこにいる。」
「リビングのソファーだよ。兄ちゃん。」
その会話を聞き、山田さん兄弟はリビングに急ぐ。
そこには、
「…。」
ソファーに横たわり、苦しそうにしている少女の姿があった。
「A!!」
「一郎?」
「意識はあるな。」
一郎が慌てて少女に駆け寄り、額を触る。
「…あちぃな。」
「一兄!体温計です!」
三郎は少女の様子を見た瞬間に体温計を取り、一郎に渡す。
いつもなら「こんな時に使えないな低能」などと言って二郎に突っかかりそうだが、今は心配した顔で少女を見つめていた。
「A、体温測るぞ。」
「うん。」
一郎は少女の脇に体温計を挟む。
ピピッピピッ
体温計が音を鳴らし、一郎は少女から体温計を取り出し数値を見る。二郎と三郎も一郎の後ろから体温計を覗き込んだ。
「…39.5。高いな。」
「兄ちゃん、A大丈夫かな…。」
「馬鹿言うなよ二郎。Aさんだぞ、大丈夫に決まってる。」
三郎はそう言いながらもとても心配そうだ。
少女は相変わらずソファーで苦しそうにしていた。
「A、今から病院に連れていきたいんだが良いか?」
「うん。…ごめんね。」
「謝るな。準備してくるから待ってろ。」
一郎はそう言って再度自室に戻る。
そしてスマホを取り出し、ある人物に電話をかけた。
「あ、もしもし。すいません忙しい所。」
「いや、あの俺じゃ無いんすけど。熱があって。」
「はい。そうです。それで今から伺いたいんすけど大丈夫っすか?」
「すいません。ありがとうございます。多分20分後位には着いてると思うので。…はい。」
一郎は電話を終え、リビングに戻ってくる。
「二郎、三郎、ちょっと行ってくるから家を頼む。」
「…わかったよ。」
「…はい。」
二郎と三郎はやはり心配そうだ。
そんな二人を見て少女は
「大げさだな。…大丈夫だよ。ごめんね一郎、肩借りる。」
「おう。」
と言って二人の頭を軽く撫でた後、一郎の肩を借りて病院へ向かった。
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芋けんぴ(プロフ) - 讃良さん» ありがとうございます。私の妄想でニヤニヤしてくださるとは、嬉しいです!気持ち悪いだなんて滅相もない。嬉しい限りです。 (2020年8月2日 12時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
讃良 - こんにちは!すごく面白くて、終始ニヤニヤしながら読ませていただきました(どうか気持ち悪いとか思わないで!)。これからも全力で応援しております。頑張ってください。体調にだけ気をつけて! (2020年8月2日 10時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - 神坂 チトセさん» ありがとうございます。私も、コメントの嬉しさにニヤニヤが止まりません。嬉しい限りです。 (2020年8月1日 23時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
神坂 チトセ - こんにちは、めっちゃ面白いです。ニヤニヤが止まりません(笑)無理の無い範囲でこれからも頑張って下さい(^ ^) (2020年8月1日 20時) (レス) id: 46099f0789 (このIDを非表示/違反報告)
芋けんぴ(プロフ) - マチさん» ありがとうございます。嬉しい限りです。 (2020年7月21日 17時) (レス) id: 9d0d70bc15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芋けんぴ | 作成日時:2020年7月14日 22時