人間洗浄機２

日常59　来訪者 ページ25

ピンポーン

「はーい。え。」

「んだよ、何か文句でもあんのか。」

ここはホテル。
少女の泊まる部屋に来訪者が現れた。
少女は山田三兄弟のうちの誰かだろうと思いドアを開けると…

「何ですか、碧棺さん。」

碧棺左馬刻が立っていた。

「何で部屋知ってるんですか？」

「三男坊に聞いた。」

「三郎に？」

どんな脅しで聞いたのだろう。
少し恐ろしいので少女は掘り下げないことにした。

「まぁ、取りあえずどうぞ。」

少女はこのまま話すのもどうかと思い、左馬刻を部屋に招いた。

「それで？何の用です？」

「ふ。宣言通り、俺様が勝ったぜ。」

「あ〜…でしたね。」

左馬刻はベッドに座り、どや顔で少女を見た。
少女は少し表情をゆがめた後、笑顔に切り替え

「でも、Buster Bros!!!の方がかっこよかったです。」

「っち。そこは変えねぇのな。」

「最推しはイケブクロなんで。」

「あぁ！？ヨコハマ推せや！」

「いやです！イケブクロが最推しです！」

少女と左馬刻は正直しょうもない言い合いを繰り広げる。
左馬刻はもう諦めたのか呆れたのか、ため息を一つこぼして少女を見た。

「…俺様はかっこよくなかったか？」

「え？かっこよかったですよ？」

「は？」

左馬刻はどうやら、少女がイケブクロばかり応援するのが少しショックだったようだ。
どこか妹を思い出させる少女、は左馬刻にとって大切な存在になりつつあった。

「一番がイケブクロっていうだけで、碧棺さんかっこよかったですよ？」

あそこのバースが〜〜
と少女が左馬刻をほめちぎり始める。
少女はイケブクロが最推しというだけで、ヨコハマを推していないわけでは無かった。

例えていうなれば、スポーツ漫画で主人公のいるチームに勝ってほしいが、敵チームにもひかれているといった感じだ。

「…そうかよ。」

「はい、そうですよ。」

左馬刻は少女の反応に満足したようだ。

「明日は麻天狼とですよね。」

「…あぁ。」

「え？もしかして自信ない感じですか？」

「先生には恩があるからな。」

左馬刻は寂雷と戦うことに戸惑いを感じているらしい。

「意外ですね。」

「あ？」

「いや、恩があっても勝負は勝負だと割り切る方だとばかり…。」

「そうか？」

「碧棺さんがラップをしているのにはなにか目的があるんでしょう？」

少女は左馬刻の目をまっすぐ見て言った。

「だってあなたは目的のためならまっすぐな人という印象があったので。」

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