夢先のキンセンカ２ ars (ページ27)

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ライオンと猫２ページ27

部屋での探るような表情とは違う、なにか怖いくらい必死な松本の形相に、大野は息を飲んだ。

食い込むくらい強い力で掴まれた肩も手首も痛いのに、

ギラギラと肉食獣のような目をした松本が、不安で泣き出しそうな子供のようにも見えて、傷つけそうで、放せと言えない。

硬直状態に陥って動けないが、ここで時間をつぶすわけにもいかなくて。

急がないとニノが……

板挟みで行き詰った大野は、

……何を思ったか自分の手首を掴んでいた松本の手を噛んだ。

「いって！！え？は！？」

まさか噛みつかれるとは思っていない松本が驚いて手を離した隙をついて、大野はすばやく松本の腕の隙間をすり抜けようとしたが、松本の反射も早くてすり抜ける直前で捕まって押し戻された。

「噛むかよ普通！？意味わかんねえ！！そこまでして俺から逃げたいかよ！？」

「そうじゃなくて！時間ないんだって！」

「だから何がって聞いてんだろ！？

　つか時間ないなら手分けした方が早いだろーが！」

それでも聞く耳を持たずじたばたと暴れる大野に苛立って、大野の顔の横でドンと拳を壁に叩きつけた。

ビクッと体をすくめた大野が思わず涙目で松本を見上げた時、

「はいはーい、ストップー。そこまでだよ～」

背後から聞こえた能天気な声に振り向くと、

「呼ばれてないけどジャジャジャジャーン」

颯爽と現れた相葉が太陽のように笑っていた。