第百九十七話【今の自分にしか出来ないこと】 ページ9
「私は此処にあるアンドロイドを全て壊します」
悩んでいる暇はない。私が覚悟を決めれば多くの人が助かるのだ。それなら、その方がずっといい。もう後悔なんてしたくない。
《Aちゃん、何をしようとしている?もしや......》
「救援は必要ありません。いえ、もしかしたら......逆に皆さんに危害を加えるかもしれませんから。これから1時間の間、誰もこの場所に近づけないでください。例え、私がどうなろうと......」
《......!Aちゃん、止めろ!今すぐ救援を送る!だから......!》
「太宰さん聞いてください」
太宰が言葉を続けようとした時、私はその言葉を遮るように言った。
「太宰さんは私に大切なことをたくさん教えてくれました。だから、私はずっと強いままでいられた。本当に感謝してもしきれません」
《そんなことを此処で言うなんて君らしくもないじゃないか......》
「私......らしさ......そうですね。本当はもっと話たかったですが......もう時間がありません。太宰さん、今までありがとうございました。皆んなにもよろしくお伝えください」
私はそう言って、無線機の電源を切った。
もうあの場所には戻れない。皆んながいる探偵社に。あのまま声を聞き続けていたら涙が溢れそうになっていたかもしれない。
本当は数百体のアンドロイドを相手にするのは不可能ではなかった。私なら彼らに負けるはずがない。それだけの力を持ってる筈だ。
でも、怖かった。
まだ死にたくなかった。
まだ皆んなと一緒にいたかった。
だから、逃げてしまえば良いって......それで誰も怒ったりなんかしない。皆んなわかってくれるって。
でも、本当にそれで良いの?
私が此処を守らなければ、このアンドロイド達は街に向かって一斉に解き放たれる。だから、今、此処で力を使わない方がずっと後悔する。
それにいつかこの日が来るとわかっていたのだ。
逃げるなんて、それはただ運命に抗いたいだけの言い訳。私だって覚悟も決められない卑怯者になりたくない。
例え、この場に私ただ一人だけでも。
誰も最期を見送ってくれる人がいなくても。
「私は最期まで戦わなきゃいけないから」
例え私が此処で命尽きようとも、この命に変えて......
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時