第二百四話【予期せぬ来客】 ページ17
知らない声にその場にいた皆んなはすぐに扉の方へ顔を向けた。そこに立っていたのは、黒い帽子を被った長身の男だった。帽子の影に隠れてその表情は分かりにくかった。
「貴方は......?でも今日は訪問の予約は一個も入っていない筈じゃ......」
咄嗟に敦は涙で濡れた目を拭いながら謎の人物に尋ねた。
「あぁ、もちろん依頼人ではない。依頼をすることもないからな」
「では、一体ここには何を......」
「随分と皆辛気臭い顔をしているようだ......それは"秋田 A"が死んだからか?」
「どうしてそれを......!」
国木田は咄嗟に男に向かって銃を向けた。
「何者だ。返答次第よっては......」
「おやおや、そんな物騒なものを向けないでくれ。私の戦闘能力に関してはほぼ一般人と同じなのだから」
「一般人だと?一体何を知っている......何者だ。答えろ」
その言葉に男は被っていた帽子を脱いだ。帽子を取ったことでその影に隠れていた左頬に残る傷跡と蒼い目が現れる。
「挨拶が遅れた。お初にお目に掛かれよう。本名を名乗れないため、代わりに「管理人」とでも名乗っておこうか」
「管理人?」
慣れない単語に思わず鏡花は聞きなおす。
「もちろんこちらでの通り名だ。職場ではそのように呼ばれているのでね。あぁ......先に言っておくが、私のことは探るな。深く知れば知る程、君らの命も危うくなる。そこまでは私の責任も持てない」
得体の知らない人物......何も知らないからこそこの目の前の人物に探偵社員達は疑心を抱く。
「では、あまり時間もないので手短にいこう」
だが、管理人は探偵社員達の様子も気にせず口を開いた。
「結論から言うとまだ秋田 Aは死んではいない」
「......!それはどういうことですか?」
その言葉に驚いた敦は管理人に向かって叫んだ。
「この私の言葉を信じるかどうかは君達次第だ。信じないのであれば、私はこのまま無かったかのように此処を発つ。さぁ、どうする?」
信じるか信じないか。その二つで探偵社員達はその狭間で揺れていた。答えを出すにも出せない。だが、その中でただ一人その答えを出した。
「貴殿を信じよう」
その一言に皆んなは声の主の方を見た。
「しゃ、社長......!」
「此れは武装探偵社社長......福沢 諭吉殿。貴方にお会いできて光栄です。しかし、良いのですか?」
「あぁ......だが、一つ訊きたい。貴殿の目的は何だ?」
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トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» コメントありがとうございます!無事に完結することができました。そう思っていただけたのなら私も嬉しいです。私も知っている作品がありましたらぜひ読ませていただきますね(^^) こちらこそ応援してくださりありがとうございました! (2023年1月31日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 完結おめでとうございます!!トキハルさんの書く文章を読んで私、漸く作者側に戻ってみようと思うことが出来ました。今度は私の作品を読んでいただけたらとても光栄です^^本当にお疲れ様でした!! (2023年1月31日 10時) (レス) @page40 id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
トキハル(プロフ) - 藍染紅琳さん» たくさんお待たせしてしまってすみません(┯_┯)ずっと待っていてくださりありがとうございました! 後編もまた来週くらいには上げられるように仕上げていきますので、今もう少しお待ちしていただけるとお願いしますm(_ _)m (2023年1月28日 10時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
藍染紅琳(プロフ) - 続編おめでとうございます!!そしておかえりなさいです!ずっとずっと待ってました^^戻ってきて下さっただけで嬉しいです!!更新応援してます!! (2023年1月28日 7時) (レス) id: 94358f61cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2023年1月26日 23時