第百二十一話【別の存在】 ページ25
【中原side】
女に手を出すのは俺のギリじゃなかった。だが、これは戦争だ。誰にでも
俺は真っ直ぐ坑道の奥へと歩き出した。坑道内に響く足音は此方に向かってくる音も、追い掛けてくる音もなかった。ただ坑道内で自分の足音だけが反響する。そして、暫く歩みを進めた時......
ゾワッ......!
突如、背後から得体の知れない気配を感じた。
俺は直ぐに背後へ振り返った。しかし其処には俺の重力に堪える秋田がいるだけ......何も出来る筈が無かった。
(気のせい......か?)
直ぐに振り向こうとしたが、
シャキン......
何故か首に刃物が当てられているような感触がした。動けば死が迫るような殺気。これまで、このような殺気を出す人間に出会った事がなかった。この場にいるのはただ一人。その者がやったとするならば......
俺は秋田に目を向けた。
すると秋田は高重力も何も無かったように立ち上がっていた。そして彼女の髪の間から見えた目には暗い光が灯っていた。まるで意思の無い人形が、こちらを見つめているような目だった。
「お前は誰だ。一体何者なんだ」
今まで見てきた秋田の姿とはかけ離れた存在がそこにいるように思えた。彼女の姿を借りた彼女とは別の存在......
秋田の手を見ると秋田の右手には刃折れの小刀が握られていた。まさか......その刀で俺の重力を切っただと?
「まじかよ。俺の重力を破るなんて......くっ......はっはっはっ、こりゃ、面白れぇ」
今まで会った事の無い奴と対峙している。そんな巡り合わせに感謝したい程だった。
「いいぜ、そこまでやるならやってみろよ」
その言葉の後、俺は秋田に殺気を飛ばした。その瞬間、首に纏わり付いていた殺気が消えた。目には目を、歯には歯を、殺気には殺気を。同等またはそれ以上の殺気を飛ばす事で相手からの殺気を相殺した。
殺気が消された事で相手は
そして秋田は静かに刀を構えた。相手は既に戦う覚悟でいるようだ。それならと......俺も相手の動き反応できるように構えた。
互いに相手の出方を伺っていると......
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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時