第百二十話【方法は知っている】 ページ24
ガッ......!
私の体が横に吹き飛び、壁に激突した。パラパラと壁から崩れた瓦礫が体に当たった。
「ゲホッ......ゲホッ......」
異能も何も強化していない時に攻撃が当たれば無傷では済まない。 私は息を吸うのに精一杯だった。
「俺の攻撃が当たる瞬間......自分から横に飛んで接触面を少なくし、
「それでも、結構ギリギリですよ......」
私は何とかその場に立ち上がった。中原の体術は私よりも遥か上だった。一体、相手はどれだけの実践経験を積んでいるのだろう。
「そうか......A、手前に恨みはねぇが......悪いなこれも仕事だ」
その瞬間、急に体が重くなり、私は片足を付いた。
(......! 急に重く......! こ、これが、重力操作......!)
必死に体を動かそうとしたが、動かせない体に為す術もなかった。
「俺は先に行かせて貰うからな。そのままじっとしてろ」
中原はその場を離れようと振り向いた。私は遠くなる背中を目で追うことしかできなかった。
(駄目だ......この人に勝てない。どうすればいい......どうしたら......何か打開策は...!)
私は必死に考えを巡らせた。
キラッ......
視界の端で何かが光った。
目を向けると、三十
私は右手を動かした。骨が軋み、痛みが走ろうとも今は関係無い。しかし、どれだけ手を動かそうとしても刀に手が届かなかった。少しの希望が力不足により道を塞いだ。私はただ重力に打ち負かされる事しか出来ず、もう為す術がなかった。もう無理だと、私が諦めかけた時......
ドクンッ......!
私の心臓が強く鼓動したような気がした。同時にあるイメージが頭の中を過った。私の背後で【黒】が佇んでいるようなものだった。
(【黒】......?)
【黒】は何も言わないまま、ポッカリと空いた虚無の目で私を見ているように思えた。
方法ならある。私がそれをしないだけ。
私は目を閉じ、心の中に呼び掛けた。
(お願い......【黒】......私に力を貸して)
その思いの直後【黒】が揺れ動き、私に黒い霧が覆い被さった。
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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時