第百十九話【格の違い】 ページ23
中原その言葉を聞き、内ポケットから一枚の写真を取り出した。
「それは?」
私は疑問に思い、中原に訊いた。
「知りたきゃ力ずくでも聞いてみろ」
中原はそう云うと、写真を内ポケットに閉まった。相手は易々と情報を明け渡す事は無いようだ。
「それなら、もうやるしかなさそうですね」
"だけど、これからは一人で戦わない事"
ふと、私の頭の中で太宰の言葉が過った。
(約束......破っちゃうな......)
情報を引き出すには戦うしかなさそうだ。加えて、このまま彼を通せば守勢側が危険である。もう此処は......
私は真っ直ぐ前に目を向け、構えた。
「ハッ......随分と潔い心算じゃねぇか。じゃあ、行くぜ」
その言葉の後に、中原が動いた。
中原は一気に距離を詰めると右腕を振り上げた。 私は拳を受け流そうと防御の構えをとった。拳は風を切り、風圧が体にのしかかるように感じた。受け止めてはダメだ。何か本能的な部分を感じ、私は急いで後ろに引き下がった。直後、拳が地面に当たり、亀裂をつくった。地面が揺れ、坑道内が震えるのを感じた。
一発でも攻撃が当たれば、ただでは済まないのは目に見えていた。
「俺が恐くねぇのか?」
ふと中原が私に訊いた。
「確かに恐くないって言ったら嘘になります。だけど、これ以上貴方を先に進ませない為にはこうするしかありません」
私は戸惑いながらも言った。
本当にそれしか道がないのか......その考えが頭の中を巡った。例え知り合いだったとしても、敵同士という
「そうか、逃げねぇのか......」
そう云って中原は少し息を吐いた。まるで期待していたものがその通りにならず、落胆するような言い方だった。
「なら、やってみろ」
威圧感のある声と共に再び中原が動いた。
今度は連続的に攻撃が飛び交った。しかし、こちらは防戦一方。何とか攻撃を見切り続け、隙がないかと探り続けた。しかし、攻撃を与える隙など一切見せなかった。
不意に中原は右腕を振り上げた。私はすかさず右に避けようとした。しかし、中原は右腕を殴る寸前で止めると左足を攻撃の軸に変えた。
(右腕は
その直後、私の体に左足が迫った。
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トキハル(プロフ) - 長らくお待たせしましたm(_ _)m 更新始めていきます。 (2020年3月4日 15時) (レス) id: a4508594ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トキハル | 作成日時:2020年3月4日 14時