第二章 ページ3
2人して涙を流してどのくらい経ったのだろう。ふと気づいたときにはお互い顔が真っ赤だった。本当に誰にも見せれない。
顔を見合わせて笑った。
夢野「あ、」
突如大切なことを思い出して小生は声を出した。
静かな空間に乗った小生の声に少し驚いたらしい彼女は此方を向いて首を傾げた。
「どうしたの…？」
夢野「少々お待ちくださいね〜」
物書き部屋に合ったはずだ。そう思って少し早歩きで取りに行く。
あったあった。取り出して懐にしまう。
いつか渡そうと考えていたが小生は勇気が出ない駄目男なようで。
でも、今なら好都合だろう。今、渡すべきものだ。
彼女は喜んでくれるだろうか。
夢野「お待たせいたしました」
夢野「さて、今から大切なお話をさせてくださいね。」
“大切なお話”という言葉に反応して、彼女は身を固まらせた。
そんな彼女の前に小生は跪いた。
そして、先程懐にしまったものをもう一度取り出して、彼女に向かって開いた。
夢野「順番が逆になってしまってすみません。でも、小生の気持ちは一生変わらず貴方とその子を愛し続けます。」
夢野「胡桃Aさん。もしよろしければ小生と同じ苗字になって、一生を共にしてはくれませんか？」
いつもの笑顔で言葉を繕えただろうか。さすがの小生だって緊張はする。シーンとした雰囲気の中で彼女の言葉を待つ。
「よろしく…お願い…します。」
夢野「本当に…本当に、小生で良いのですか？」
「えぇ、、幻太郎から言ったじゃん…」
夢野「ですが…求婚をする前に孕ませる男など…」
「そういうこと言わない！」
ぺしっと軽く頭をはたかれる。
「どっちが先かなんて関係ない。」
「私もこの子も幸せにしてくれるんでしょ？」
彼女は彼女にふさわしい笑顔をしながら、早くしろと言うばかりに左手を差し出した。
やはり、小生はいつまで経っても彼女には敵わないようだ。
夢野「A、好きです。愛してます。」
彼女の左手薬指に指輪を通した。
こうして父様と母様は夫婦になったのです。
父様なよなよしてる〜って、、お主…父様が母様に叱られているところを何度も見ているでしょう？分かるでしょう？父様は母様の前では父様じゃないんですよ。敵わないんですよ。だって母様鬼なんですもん。
おっと、、、、、母様、、？どうされました………？あはは。鬼？鬼なんて誰も言っていませんよ？ねぇ？はは。
すみませんすみませんでした！！！
嘘ですって、嘘ですよ〜なんて。ひえっ
続く
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作者名：鈴蘭リンドウ | 作成日時：2023年8月28日 2時
