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sensation ページ20

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「お仕事の話するんでしょ? 僕は隣の部屋でデザイン練ってるからここは好きに使っていいよ」

 ぴょこぴょことしたピンク色は手を振って隣の部屋───といってもこことは透明なガラス戸一枚で仕切られただけの部屋だが───へ向かった。部屋の色と同じように白い机に向かってガリガリと何かを描き(﹅﹅)込んでる様子を見ると、彼がデザイナーだということが再認識できる。



「───さて、仕事の話の前にソラナミさんの証明をしましょうか」

 夢野先生の言葉に忘れていたことを思い出させられる。そういえば私の証明はしていない……しなくても問題ないような気がするが。しかも、そう思っているのは私だけではないらしいが。
 ……まぁ、相手だけに証明をさせて私がしないのは不公平(アンフェア)だとは思う。

「何をすれば良いのですか?」

「数秒で済ませられる事です。紙と何かを書くものはありますか?」

 はい、と返事をして私はスクールバッグを漁る。紙は不必要になったプリントの裏紙……この四次関数因数分解の解き終わったプリントの裏で良いだろう。筆箱からは多機能ボールペンを取り出して、彼の次の言葉を待つ。

「ソラナミさんは自分が描いた絵のどこかにサインを書かれていました。それを書けば何よりの証明かと」

「なるほど」

 私は主に無断転載防止の為にサインを書き込んでいる。完全に防止できるかと言われたら肯定はできないが、不快な思いをする機会は減るのだ。
 彼の言葉に納得したので言われた通りにササッとサインを書く。所要時間約五秒。

「どうでしょうか?」

 書いた紙を見せながら青年に訊ねる。彼はこくりと頷いて「間違いなくソラナミさんですね」と返答した。この会話含めて多く見積っても15秒。一分に満たない時間で私の証明は終了した。……が、やはり証明ごっこはしなくても良かったのではないかと思ってしまう。

「……意味はありましたか?」

「意味はありましたが、必ずやるべきだったかと訊かれたら答えはNOですねぇ」

 肯定に見せかけた否定の言葉をバッサリと下される。……じゃあこの証明ごっこはなんだというのか、と私が疑問を口にする前に青年が言葉を続けた。

「あなたは騙し討ちなんて得意そうじゃないので成りすましなんてしないでしょうし」

「どうしてそう思うんですか?」

「ふふ、嘘つき(小生)の第六感です」

 青年は柔らかく微笑んだ。

 

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有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - こんにちは。更新停止は悲しいですが、今までの中で凄く謎があり、魅力的なストーリーをありがとうございます!もしまた夢小説を書ける機会があればその時は必ず読みます!ボードも読ませて頂いていました!勉強等、頑張って下さい!執筆が再開出来るのを待っています! (2021年1月18日 18時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)
GH(プロフ) - 有栖 幻月@ポッセ同盟さん» 読んでくださっている方がいると分かって嬉しいです…!ありがとうございます〜! (2021年1月5日 13時) (レス) id: a35742dc57 (このIDを非表示/違反報告)
有栖 幻月@ポッセ同盟(プロフ) - 何時も楽しく読ませて貰っています。所々に謎があるストーリーがとても好きです。これからも頑張って下さい! (2021年1月5日 11時) (レス) id: d4dd6494ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:GH | 作成日時:2020年11月3日 10時

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